来月3日の節分までは一年で寒さが最も厳しくなる頃とされる「大寒期」。今年は雪が少ないとはいえ、朝晩の冷え込みはさすがにこたえる。
昭和世代にとってこの時季、一家だんらんに欠かせない道具が「こたつ」だろう。家族全員で足を入れ、ミカンを食べながらテレビを見る。ただ、寒波が襲来した能登の被災地の映像に心が痛む。
そういえば、5年前に放送されたテレビドラマ『俺の話は長い』に、こたつにまつわる面白いシーンがあった。生田斗真さん演じる「31歳独身、職なし、実家暮らし」の主人公が、一緒にこたつを出した義兄に話しかける。「世界の核心を突くこと言っていいですか?」「世界から戦争をなくす秘密兵器って、こたつなんじゃないですかね」。なるほど。こたつでまったりしていたら、誰かと争うなんて気は起きそうにない。
この作品で脚本家の金子茂樹さんは「向田邦子賞」を受けた。同じスタッフが集まり、昨年10~12月に放送されたドラマのタイトルは『コタツがない家』。3世代にわたるダメ男と、「娘・妻・母」の役割を担う女性との対立構図を描いた。こたつはやはり平和の象徴なのか。
イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が始まり、はや3カ月半。来月には開始から2年を迎えるウクライナ戦争も終息が見通せない。かなわぬことと知りつつ、こたつが世界を救ってくれないだろうか、と願ってしまう。(健)