中世になると「めた」という言葉が広まったという。度を越えて甚だしいさまを指し、とりわけ「めたと酔った」など泥酔する様子に使われた。現代語の「めちゃくちゃ」と意味が似ている▼こちらの「Meta(メタ)」の度を越えた対応が批判を浴びている。フェイスブックやインスタグラムを運営する米IT大手メタである。著名人に成り済ます詐欺広告が自社SNS上で広がっている問題を巡り「社会全体でのアプローチが必要」と木で鼻をくくった声明を発表した。成り済まし被害を受けた事業家の前沢友作氏や堀江貴文氏らから「まるで人ごとだ」と「めった打ち」を受けている▼新聞社に広告の内容を審査する部署があるように、日本では料金を受け取る側に詐欺を防ぐ道義的責任があると考えるが、どうも巨大ITには通じないらしい。監視担当者の増員など必要な所にコストをかけず、詐欺広告もお客さまと受け入れて肥大化したのではと勘繰ってしまう▼そろそろEUのように政府によるプラットフォーム規制が必要だろう。問題は法整備までのスピード感だ。新たなサービスが日進月歩で広がり、連動して詐欺被害の拡大が見込まれる中で、従来型の行政手法では追い付かない現状がある▼ところで「めた」に漢字を当てれば「滅多(めった)」となり、思慮の浅いさまを指す。平仮名でも英語でも漢字でも偶然、同じような意味になるから面白い。(玉)