毎日、誰かの日常が奪われている。悲しい思いをする人を生まないために、一人一人が交通安全を厳守してほしい-。2019年に東京・池袋の乗用車暴走事故で妻子を亡くした松永拓也さんの願いだ。苦痛を押して発信し続けている言葉だけに胸に迫る。急ぎの時など無理な運転をしそうになる際、戒めにしている▼事故の多くは過信から起こるのだろう。スマホを構うといった「ながら運転」が後を絶たないのも「自分なら、これくらいなら大丈夫」という間違った思い込みだと思う▼先日、二重に罪深い「ながら運転」を目撃した。松江市の宍道湖大橋で信号待ちをしていると、隣の車線にいる軽自動車の運転席側の窓から、紙たばこが見えた。年配の女性とおぼしき運転手は、信号が変わると吸い殻をためらいなく窓から投げ捨てた▼昨年、出雲市内でごみを路上に捨てた観光客らしき男性に、思わず声をかけた話を小欄で書いたが、周りの目もあるのに悪事を働けるとは、悪気がないのだろうか▼車からのポイ捨ては、道交法第76条違反となる場合もある。加えて松江市では市全域でごみの投げ捨てを禁止する条例があり、JR松江駅周辺など指定地域では2万円以下の過料が科される。ただ、現認しての取り締まりは難しく、一人一人が意識を高めたい。心配なのは、灰を落とすぐらいは許されると思う人がいること。残念ながらたまに見かける。(衣)