皆さまに支えられ、山陰中央新報デジタル(通称・Sデジ)のリニューアルから8月で1年。Sデジでは、紙面に載らないデジタル版の限定記事を毎日アップしています。
1周年に当たり、本紙記者・デスクが投票で、この1年間に配信したトップ10を選びました。本日からカウントダウンで3回にわたって執筆記者の後日談とともに配信します。
さて、どんなニュースがランクインしているのでしょうか?

普段は登録した会員の皆さましか読めないように原稿に「鍵」をかけていますが、今回トップ10に選ばれた記事は2週間限定で無料公開しています。この機会に、紙面では読めないSデジオリジナル記事を楽しんでください。
10位から1位まで、カウントダウンで紹介👇(7月30日更新)

<後日談>
これまで何度もプロ、アマの写真家が開く展示会を取材してきました。自分も記者として写真を撮るのが仕事の一部です。それゆえ、いつしか自分の写真も大勢の人に見てもらえたら楽しいだろうなと考えていました。
そんな時、偶然にも取材でお世話になった田中昭則さんから展示出品の誘いを受けました。普段の取材は作品紹介がメインである一方で「そもそもどうやって展示会って開くのだろう」と疑問がありました。出品する過程で、体験談として書けば伝えられると思った次第です。
記事掲載後、多くのメンバーから「写真の思いを文字にしてくれた」と感謝の言葉をいただきました。こちらも表現の幅が広がる貴重な体験ができて感謝の念でいっぱいです。
📝宮廻裕樹 記者
<記事冒頭> 2024.4.16~23
浜田市在住の記者(25)は、取材でお世話になっているアマチュア写真家の田中昭則さん(71)=浜田市三隅町古市場=に誘われ、写真展に参加することになった。これまで写真展を多く取材してきたが、出品者になるのは初めてだ。仕事で撮る報道写真と芸術写真は何が異なるのか。展示開催までの裏側、来館者に作品解説を行うギャラリートークの様子を3回にわたり紹介する。

<後日談>
1~6月に連載した企画「学びの変革~人口減少時代の教育~」の取材で、福山さんと知り合いました。当初は記事を構成する一部として、受験生が置かれる教育環境についてのコメントを紹介しようと考えていましたが、整理された考え方や話の面白さに触れ「人物もの」の記事に切り替えて掲載しました。頑張っている高校の後輩の活躍を残したいとの思いもありました。
印象的だったのは「上位の大学に受かる人は勉強に何かしらの面白さを見いだしている」という言葉です。「勉強」を「仕事」に置き換え、自分事として考えました。受験生だけでなく、社会人にも響く思考ではないでしょうか。
📝曽田元気 記者
<記事冒頭> 2024.4.1
多くの若者が希望を胸に新生活を始める4月。松江北高校から現役で東大文科1類に合格した福山陸さん(18)もその一人。「官僚になりたい」の目標を描き、東大合格を周囲に宣言して効率的で地道な努力を重ねた。意識の持ち方や勉強法とは…。福山流メソッドを紹介する。

<後日談>
「ダンクが決まると、味方より対戦チームの保護者が沸く」。そう島根県内のバスケットボール関係者から聞いて取材したのが、松江市の小学生ミニバスチームに所属していた大谷亮将選手でした。
チームメートが「相手に派手さを見せつけるようなプレーはしない」と話す通り、カメラを前にダンクシュートをお願いしても、どこか淡々とした動きでネットを揺らしてくれました。
インタビューにも小学生とは思えぬ落ち着き払った言葉を返す姿が印象的。現在は市内中学校の部活動で競技を続けています。
📝森山郷雄 記者
<記事冒頭> 2024.1.20
松江市の小学生バスケットボールチーム「内中原BeeMagic(ビーマジック)」にダンクシュートを放つ児童がいる。身長177センチの恵まれた体格から豪快にシュートを決める姿は、島根県内の大会で対戦する相手チームの選手や保護者を沸かせる存在になっている。

<後日談>
将棋のタイトル戦の会場選定は、誘致する施設側が主催者である新聞社や日本将棋連盟に数百万円のスポンサー料が支払うことで成立します。国民宿舎さんべ荘での王将戦誘致は2004年以降、対局がなかった年を含め9回を数えます。
今でこそ藤井聡太七冠の登場で盛り上がる将棋界ですが、以前は冬の時代でした。一方、現在の会場誘致は熱を帯び、実現は簡単ではありません。藤井王将を招けるのはひとえに、厳しい時代でも王将戦を支えてきたさんべ荘と主催者の強い信頼関係がありました。
📝勝部浩文 記者
<記事冒頭> 2024.2.18
1月下旬に国民宿舎さんべ荘(大田市三瓶町)で指された第73期王将戦第3局は、タイトル戦恒例の勝負めしやおやつに加え、1泊80万円の特別宿泊プランが販売されるなど、新手の趣向で盛り上がりを見せた。さんべ荘での開催は2年連続7回目。高級旅館ではない国民宿舎が幾度も対局会場になる理由に、かつての熱心な誘致活動と創意工夫がある。

<後日談>
「MCバトルで島根県出身の元銀行員ラッパーが優勝したらしい」。どこからともなく伝わってきたうわさをきっかけに2021年から取材を続けています。
ユーモアあふれる言い回しと、高い音楽性を感じる楽曲やMCバトルに触れ「自分のようにHIPHOPを知らない人にもSKRYU(スクリュー)さんの魅力を伝えたい」との一心で筆を走らせました。
今月上旬に東京都内で観客3千人規模のワンマンライブを成功させるなど飛躍を遂げる一方、今でも取材の際には島根を愛する”植田敬助”の顔をのぞかせてくれます。山の頂を目指して駆け上るSKRYUさんの姿に今後も注目しています。
📝吉田真人 記者
<記事冒頭> 2023.9.22
若者を中心に人気を集める安来市出身のラッパーSKRYU(スクリュー)さん(27)は、山陰合同銀行(松江市)の行員からラッパーへと転じた異色の経歴を持つ。今年リリースした楽曲「How Many Boogie(ハウメニーブギー)」が交流サイト(SNS)で話題になり、ミュージックビデオ(MV)は700万回再生を超えた。ユーモアのあるワードセンスと音楽性で勝負するSKRYUさんの魅力を探った。

<後日談>
2024年の元日に満を持して配信した原稿です。
米子市淀江町の音楽喫茶を訪れたのは、ドラマや映画に引っ張りだこの俳優・安田顕さん。芸能界を代表するビートルズフリークの安田さんと、突然の訪問に驚く店主とのやりとりを記者が臨場感あるタッチで仕立ててくれました。
行間からはあふれんばかりの「ビートルズ愛」が伝わってきます。応対した店主の「人として尊敬できる。『芸能人が訪れてくれた』というより、『すごくすてきな人に出会えた』という感じ」というコメントも秀逸です。
<記事冒頭> 2024.1.1
ビートルズなどのオリジナル盤レコードを聴かせるユニークな音楽喫茶「ロックンロールレコード」(米子市淀江町佐陀)に10月、ある人気俳優が突然訪れた。店主の木下浩史さん(52)が思いも寄らぬ展開に驚く中、ビートルズ好きの俳優は、ゆっくりと音楽を堪能したという。うわさの喫茶店を取材した。

<後日談>
JR伯備・山陰線の特急やくもで活躍した381系が6月、定期運用を終えました。現役最後の国鉄型特急電車として全国の鉄道ファンから注目を浴び、引退前にはかつて運行していた塗装を再現したリバイバル編成が登場するなど、沿線は大変なにぎわいとなりました。
最終日には大勢の乗客・ファンのほか、長年運行を見守った駅員も駆けつけ、有終の美を飾りました。381系に乗車した感想も交えながら、陰陽連絡の主力として活躍した車両の最後の姿を追いました。
📝石倉俊直 記者
<記事冒頭> 2024.6.17
JR伯備、山陰線を経由し、岡山ー出雲市駅間を結ぶ特急やくもの381系が15日、定期運用を終えた。現役最後の国鉄型特急電車として注目を浴び、ラストランは全国から訪れた鉄道ファンでにぎわい、有終の美を飾った。42年にわたり陰陽連絡の主力を担った381系やくもの最後の活躍を振り返る。

<後日談>
松江市八雲町の伝統行事を取材した昨年2月、会う人会う人が「石倉さん」で驚きました。全21世帯が石倉さんの地区もあるなんて。そのわけを探ろうと、総勢7人の石倉さんに話をうかがいました。
初めは「人口流出説」が有力で、でも「あの石倉さんたちが読んで楽しくない記事なら、書く意味がないな」と記事にできずにいました。視界が開けたのは、郷土史家の藤岡大拙さんと出会ってからです。「今を生きる人のための歴史」という考え方に共鳴し、見つめ直すと、物語が浮かび上がってきました。掲載後に会いに行った石倉さんの言葉と表情は今でも鮮明で、思い入れのある仕事になりました。
📝今井菜月 記者
<記事冒頭> 2024.3.18
松江市は「石倉さん」が全国の市区町村で群を抜いて多い。中でも八雲町西岩坂は会う人会う人が石倉さん。一体なぜなのか。八雲町西岩坂の桑中地区は、住民によれば全21世帯が「石倉さん」だ。石倉幹さん(82)は「分家の3軒を除き、知る限り血縁関係はない」と話す。90代も珍しくなく「石倉同士でみんな仲良くしている」と相好を崩す。

<後日談>
昨年、福岡市博物館を訪ねました。目当ては「漢委奴国王」の金印でしたが、最も引きつけられたのが、西鉄ライオンズのコーナーです。その中心に中西太さんがいました。球団や中西さんの存在は、地元住民にとって中央(東京)に対抗するシンボルだったのではなかったでしょうか。改めて存在の大きさが分かりました。
中西さんと出雲との浅からぬ縁を記事にできたのは記者冥利(みようり)に尽きます。特に野球に詳しい読者の方から、記事に好意的な反響を頂いたのが、記者にとって大きな励みとなりました。
まだまだ地元には記録に残されないまま、人々の記憶から消えようとしている出来事が多くあると思います。掘り起こし、残す作業も記者にとって重要な仕事と感じています。
📝佐野卓矢 記者
<記事冒頭> 2024.5.19~20
プロ野球西鉄ライオンズ(現埼玉西武ライオンズ)黄金時代の主力選手で、昨年5月11日に90歳で亡くなった中西太氏。本塁打王を5度獲得し、推定飛距離160メートル超のホームランを放ち、規格外の豪打で知られた。実は高校時代、出雲市であった招待試合に呼ばれ、特大本塁打を放った伝説がある。記録や当時を知る人をたどり、実相を調べた。

<後日談>
「カエルがひかれた標識があるの知ってます?」。標識の存在を知ったのは、交通安全イベントを企画中の川本署員との雑談からでした。
地元の公民館だよりで紹介される一方、ユニークな図柄の由来を知る人はいませんでした。好奇心7割、記者としての使命3割で取材を進めました。
配信後、周囲から「ずっと気になっていた」「北海道にもあるんだね」との反響がありました。邑南町に貴重なヒキガエルの産卵地があることが広く知られ、ヒキガエルの聖地としてさらに”さカエル”のを願っています。
📝吉野仁士 記者
<記事冒頭> 2024.3.31
島根県邑南町大林の徳前峠(標高460メートル)にある道沿いに、車にひかれたカエルの絵が描かれた珍しい道路標識がある。動物注意の標識といえばシカやクマ、タヌキが有名だが、カエルに注意とは一体どんな道路なのか。実際に道路周辺に行き、調べた。