パリ五輪のスケートボード女子ストリートで金メダルを獲得した吉沢恋選手(右)と銀メダルの赤間凜音選手=7月28日、パリ(共同)
パリ五輪のスケートボード女子ストリートで金メダルを獲得した吉沢恋選手(右)と銀メダルの赤間凜音選手=7月28日、パリ(共同)

 日本勢の活躍で連日の盛り上がりを見せるパリ五輪は、競技最終日を迎える。1人で3個の金メダルを獲得した体操男子の岡慎之助選手(20)や、レスリング女子53キロ級を制した藤波朱理選手(20)ら若い世代の台頭が目立つ▼パリを象徴する観光名所エッフェル塔などがデザインされた今大会の金メダルを先日、取材で見る機会があった。スケートボード女子ストリートで初出場ながら頂点に立った中学3年生、吉沢恋選手(14)が獲得したものだ▼吉沢選手に競技を一から教えた益田市出身の寺井裕次郎さん(40)を取材するため相模原市のスケートボード店を訪れると、練習に向かう前の吉沢選手と遭遇した。ずうずうしくも写真撮影や短時間でも話が聞けないかとお願いすると、快諾してくれ、重厚感のある金メダルも取り出してくれた▼14歳の金メダリストはひょうひょうとした印象だった。寺井さんの人物評は「友達みたいなコーチ」で、7歳で滑り始めた頃から親しみを込めて「裕次郎君」と呼んでいるという。帰国後はテレビ出演が相次ぐ中、地方紙からの突然の取材に応じたのも「裕次郎君のため」。2人の信頼関係の強さを垣間見た▼吉沢選手は4年後のロサンゼルス五輪で2連覇を目指すという。パリ五輪ではテレビ観戦だった寺井さんを「これからは海外(遠征)に連れて行く」と言い残し、練習へ向かった。応援したい選手がまた一人増えた。(吏)