
「まんまるかぞくは、みんなが まんまる。ふとっちょくんも おちびさんも、みんなが まんまる。

そんな家族の下に、ただ1人、四角い形をした「かっくん」が誕生します。
「きみは みんなと 形が ちがうけど、おとうさんと おかあさんは きみの ことが だいすきだよ」とお父さんとお母さんは優しく言いました。しかし、かっくんはまんまるな他の子どもたちから、仲間外れにされてしまいます。
「ボク…どうして、しかくいんだろう。ほかのみんなは、まんまるなのに…。」

でも、あることをきっかけに、みんな仲良しになります。その出来事とは?
作品の原題は「Little Cube and the All-rounders」。作者はベルギーの作家で、日本語訳は『五体不満足』でおなじみの乙武洋匡さんです。
乙武さんはユーチューブで、小学校での思い出を話していました。他の子と同じようにびしょぬれになって、雑巾で床の拭き掃除をしていると、担任の先生は「みんなと同じことをしなくても、自分の得意な別のことでクラスに貢献したらいいよ」と、掃除の時間は得意なワープロでの文書作成を任せたそうです。
このエピソードは多様性を理解し、誰もが特異(ユニーク)を尊重され、それぞれの得意によって支え合う、インクルーシブ社会のあり方を教えてくれます。
幼児期から学齢期に車いすユーザーや補聴器を装用している人、肌や髪の色が異なる人などに出会い、世の中には自分とは違う人がいると気づくことは大切です。ただ、違いを単に「○○がない人」「○○ができない人」とネガティブに捉えて終わるのではなく、多様な価値、つまり特異(ユニーク)と捉え、そして特異を得意へと価値づけていくために、周りの大人が意識して子どもに関わることが必要です。
「いろいろ いるよ。まんまる、ふとっちょ、しかくに おちび。みんな みんな ちがうけど、みんなで みんなで あそぼうよ」という最後の一文を、ぜひお子さんと一緒に味わってみてください。