闇バイトへの注意を呼びかける啓発活動=東京都大田区
闇バイトへの注意を呼びかける啓発活動=東京都大田区

 幼い頃、「罰が当たる」とよく聞かされた。「悪いことをすれば-」「食べ物を粗末にしたら-」。悪い行いをすれば、神仏の罰を受けるという。主に祖母から繰り返し言われた▼そんな言葉は、聞かなくなった気がする。無理もない。内閣府の「高齢社会白書」によると、65歳以上の人がいる世帯のうち3世代の世帯は、1980(昭和55)年に全体の半数を占めていたが、現在は10%を切っている。お年寄りがそばにいる家は減少を続ける▼身をもって罰を経験したことがある。「くそじじい!」と祖父に悪態をつき、くるりと背を向けて逃げようとした先にあったのはストーブ。ぶつかって、かけてあったやかんの湯が脚にかかりやけど。罰はすぐに当たることがあると知った。だからか、戒めの言葉として植え付けられている▼今、自制を促す言葉をかけたくなる事件が相次ぐ。インターネット上で集められた若者らによる強盗や詐欺。高額報酬で誘い「闇バイト」と呼ばれるが、重大犯罪に他ならない。高齢者の被害が多く胸が痛む。先頃は強盗予備の疑いで、中学3年の少年ら10代の3人が逮捕された。どこかでブレーキをかけられないものか▼3世代世帯が減る中、地域の行事は高齢者とも交流できる大切な機会。人口減少やコロナ禍による中止も聞くが、できる限りの触れ合いを願う。その経験で感じたことを心のどこかに残しておいてほしい。(彦)