セ・リーグ3位からの下克上でプロ野球日本シリーズを制したDeNA。ソフトバンクとは2017年の頂上決戦でも対戦していた。
当時ひそかに楽しみにしていたのが、出雲市出身のソフトバンク・和田毅投手と松江市出身のDeNA・梶谷隆幸選手による「島根勢対決」だ。実現したのが第4戦。先発した和田投手は五回に先制本塁打を浴びた直後、梶谷選手に追加点のきっかけとなる右前打を許し、この回限りで降板。さえない表情でベンチに戻る姿が印象に残っている。
あれから7年。巨人に移籍後、腰や左膝の故障で苦しんでいた36歳の梶谷選手に続き、和田投手も現役引退を発表した。球団は来季も契約する意向を示していたものの、パ・リーグ現役最年長の43歳は、22年間の現役生活に自らピリオドを打つことを決めた。「やりきった」という思いが強かったのだろう。会見での表情は晴れやかだった。
昨年12月、和田投手は出雲ドームで開かれた少年野球大会を観戦。「野球が楽しいと思って続け、プロを目指してもらえたらうれしい」と子どもたちを激励していた。自らの名を冠した大会も19回目。いずれ日本シリーズに出場するようなプロ選手が誕生するかもしれない。
島根の球児の憧れだった和田投手と梶谷選手はユニホームを脱ぐが、指導者としてまた帰ってくるだろう。今度は違う立場での島根勢対決を日本シリーズで見てみたい。(健)