松江藩御用達だった出雲焼楽山窯(松江市西川津町)の窯元、長岡住右衛門空郷(くうきょう)さん(69)の「古希記念展」が、米子市角盤町1丁目のJU米子高島屋で開かれている。登り窯で焼き上げた約70点を展示し、代名詞の「茂三写茶垸(わん)」の窯変の妙や、開窯初期の作風を手本にした井戸茶垸の「口造り」のゆがみの趣が、来場者をうならせている。16日まで。
楽山窯は江戸時代の1677年開窯し、空郷さんは2019年に「12代長岡住右衛門」を襲名した。節目の70歳を「気力、体力がそろう、一つの区切り」と捉え、記念展では、先代の父空権(くうごん)さんが得意とした井戸茶垸で「新しい形」にも挑んだ。
新作は、1700年代までの「古い茶垸」から取り入れた、正円ではなく、ゆがみながらもバランスの取れた口造りが特徴。「今までにない色や景色も出た」という茂三写茶垸を含め、いい作品ができるとされる、気温の低い静かな夜を徹して焼き上げた自信作を並べている。(吉川真人)