大津波が押し寄せる映像は、雲南市内の行きつけの美容院で見た。2011年3月11日の東日本大震災の発生後間もなくのこと。テレビから流れる映像に店内が騒然となったのを鮮明に覚えている。
その際の記憶が影響しているのだろう。首都直下型地震が起こる可能性のある東京都内で勤務するようになって以降「もし散髪中に大地震が発生したら」という不安を抱くようになった。雑居ビルの一角に構える店舗も多く、明確な指示がなければ、避難は個人の判断に委ねられる。無防備な状態だけに迅速に避難できる自信がない。
同様に、無防備な状態ながら自ら命を守らないといけないのが入浴中だ。裸のままではすぐに逃げることは難しい。ぬれた体のまま、浴室の扉が開かずに閉じ込められてしまった場合は体温の低下が心配だ。特に寒い冬は命に関わりかねない。
東京都が23年に住民向けに発行した「東京くらし防災」によると、揺れを感じたら洗面器などを頭にかぶってすぐに浴室から出るほか、日頃からバスタオルや着替えは手に取れる場所に置き、窓ガラスや鏡が落ちて割れないように飛散防止フィルムを貼ることを勧めている。これは山陰で暮らしていても役立つはずだ。
東日本大震災から14年がたった。その後も地震や水害が後を絶たない。就寝中を含め無防備な時に大災害が発生したらどうするか。知識を少しでも身に付けておきたい。(吏)