高校野球の聖地・甲子園に昨年の大社のような「島根旋風」が吹くのだろうか-。熱戦が続く全国高校野球選手権はきょうが9日目。第1試合(2回戦)で開星が、1回戦で鳥取城北を破った仙台育英(宮城)とぶつかる。
開星にとっては15年前の初戦で「勝利まであと1人」と迫りながら、痛恨の失策で逆転負けを喫した因縁の相手。今回は優勝候補の一角に挙げられるが、昨年の大社も初戦で優勝候補の報徳学園(兵庫)を破って勢いに乗った。旋風の再現を期待したい。
熱戦とは対照的に、広陵(広島)の暴力問題が波紋を広げている。今年1月、寮で禁止されているカップ麺を食べた1年生部員に対し、上級生が暴力を振るったとされる。交流サイト(SNS)で拡散され、別の事案も発覚。広陵は2回戦を辞退した。
問題を把握した後の学校や広島県高野連の対応は適切だったのだろうか。日本高野連の処分は「厳重注意」で従来の基準に沿って発表されなかった。被害者の立場を考えた対応や再発防止策を真摯(しんし)に検討したのか疑問を抱いてしまう。
高校野球では、選手の負担軽減などから球数制限やタイブレーク制が導入され、来年からは指名打者(DH)制の採用も決まった。ルール変更とともに、暴力やいじめをなくす取り組みにも本腰を入れるべきではないか。普段の活動の在り方や環境を見つめ直し、あしき伝統があるなら、変える契機にしてほしい。(彦)