勤務先の東京で取材拠点とする国会記者会館には、多くの地方紙記者が集まる。夏になると盛り上がるのが甲子園に出場した地元勢の話題だ。今年は沖縄代表の沖縄尚学高が初優勝。同じ部屋で仕事をする地元紙記者が、号外欲しさに本社前に並ぶ多くの県民の写真を見せてくれ、熱狂ぶりに触れた。沖縄尚学は私立だが、ベンチ入り20人中18人が地元出身で愛着が深まる。
さらに今夏の甲子園を沸かせたのが県岐阜商高だ。公立校で唯一8強入りし、準々決勝では優勝候補の横浜高に延長11回サヨナラ勝ち。公立校の「旋風」は昨夏の大社高と重なった。
県岐阜商は昨夏の岐阜大会で敗退した後、鍛治舎巧監督が退任。高校野球ファンにとってはテレビ解説者としておなじみの鍛治舎氏は、低迷が続いた母校を2018年から6年半率いて再建し、甲子園に春夏4度導いた。退任会見では「いい形で引き継ぎができるところまでこぎつけた」と語っていた。
今夏準優勝した日大三高(西東京)も23年春に名将と呼ばれた小倉全由監督が勇退した。結果が出たからこそ言えるが、県岐阜商も日大三も、うまく新体制に引き継ぐことができた。
翻って政界はいまだに参院選後の体制が定まらない。選挙に大敗してもなお石破茂首相は続投に意欲を燃やす。なぜ自身が続ける必要があるのか。納得と共感を得る説明を尽くし、政策で結果を出すしか信頼は得られない。(吏)













