また幼い命を守ることができなかった。大阪府摂津市で、3歳の男児が20代の母親の交際相手に熱湯を浴びせられて死亡した。男児は上半身の皮膚がただれ、死因は熱傷性ショックだった。虐待情報が市、児童相談所に入っていたにもかかわらず、警察と情報共有していなかった▼殺人容疑で逮捕された交際相手は「熱湯を故意に浴びせていない」と容疑を否認しているというが、大阪府警は男児を身動きできない状態にし、熱湯を5~10分間掛け続けた疑いがあるとみている。むごい。むごすぎる。記事を読んでいるだけで胸がつぶれそうだ▼交際相手の虐待行為が男児死亡の原因だが、虐待行為に対して口を極めて非難しても再発ゼロにつながらないだろう。今回の問題点は、大阪府全域の児相が受理した全ての虐待情報を警察に伝える「全件共有」の仕組みがあったのに機能しなかったことだ▼市と児相は母親の知人などからの「虐待の恐れ」との複数回の通報を「緊急性は低い」と判断、警察に連絡しなかったという。どの時点で、どう判断をしたら男児は命を落とさずに済んだのか。山陰両県で同様なケースが起きる可能性はないのか。それぞれの機関が自分のこととして検証してほしい▼街中で親子連れを見掛けると思わず見入ってしまう。むっちりした乳児の手足、あどけない幼児の表情や行動。この子たちの将来を奪うことは許されない。(富)