時はさかのぼり、第2子妊娠7カ月のころ、突然の出血があった。数日前の妊婦健診で「切迫早産」と診断され、自宅安静を命じられたばかり。急いで受診すると、その場で「即入院」を言い渡された。

 切迫早産とは、まだ生まれてはいけない時期に赤ちゃんが生まれそうになっている状態。第1子妊娠時も切迫早産で自宅安静をしていたが、今回は入院になってしまった。しかも、いつまでか分からない。出産予定日まであと3カ月もある…。先が見えない不安と、この日連れてきた娘と、突然離れて暮らすことになったさみしさから、涙が次々とこぼれてきた。娘は、病室で横になり、点滴の針を挿される私の姿を見て、表情がこわばっていた。それを見て、余計に泣けた。親が入院する子どもの心のケアは、どうしたらいいのか。初めて気付いた視点だった。

 1人で夜を過ごすのはいつぶりだろうか。娘の世話に明け暮れ、1人でゆっくり大の字で眠れる日はいつくるんだ、なんて言っていたが、それが皮肉にもかなった形だ。

 入院中は24時間点滴をつないで、早産につながる子宮の収縮を抑える薬を投与する。食事とトイレ以外は寝たきりだ。副作用は、頻脈、動悸(どうき)、手の震えなど。これに腰痛も加わり、食欲もなくなった。診察を受けてみたら「水腎症」を併発していた。大きくなったおなかが腎臓を圧迫し、尿の通りが悪くなり腎臓が腫れていた。おなかの張り止めに加えて抗生物質も点滴した。

 1日中横になって、何をしようか。読書やクロスワードなど思いついたが、利き腕である右側に点滴針が挿さっていて思うように動かせず、長時間は難しい。テレビも見続けていると頭痛がする。ラジオも聴きすぎて、音自体に嫌気がさしてきた。こうなるともう、どうすることもできない。

 産前休暇までも1カ月と少しあった。取材予定を同僚に電話で引き継ぎ、取材相手にもメールで断りを入れた。なんともむなしく、情けない作業だった。