2月末午後8時ごろの山陰(さんいん)の星空とM42~M45の位置。写真は三瓶自然館撮影(さつえい)=アストロアーツ/ステラナビゲータの星図(せいず)を元に作成
2月末午後8時ごろの山陰(さんいん)の星空とM42~M45の位置。写真は三瓶自然館撮影(さつえい)=アストロアーツ/ステラナビゲータの星図(せいず)を元に作成

肉眼でも見える星雲、星団

 星空の中には、雲のようなガスが光る星雲や、星が一カ所に集まった星団(せいだん)があります。星雲や星団には、M1、M2という番号で呼(よ)ばれるものもあります。このMは、18世紀(せいき)のフランスの天文学者メシエの頭文字です。

 メシエは夜空に突然(とつぜん)現(あらわ)れる彗星(すいせい)を、望遠鏡(ぼうえんきょう)で探(さが)すことに熱心でした。彗星は、時には長い尾をのばしますが、大抵(たいてい)は淡(あわ)い光の固まりにしか見えず、星雲や星団と似(に)ているものが多いのです。そこでメシエは彗星と紛(まぎ)らわしい星雲や星団などを見つけては、番号を付けて整理しました。

 まず40個(こ)の天体をまとめましたが、その後おおいぬ座(ざ)に41個目にあたる星団を発見しました。41という数が半端(はんぱ)だったからか、よく知られている四つの星雲・星団も加え、45個を一覧(いちらん)にしました。

 ですから、後にMを付けられたM42からM45は、彗星と見間違(みまちが)えることのない分かりやすい天体になっていて、見て楽しむのにお勧(すす)めです。

 M42とM43はオリオン座の大星雲で、ガスが二つに分かれて見えるのでそれぞれに番号が付いています。M44は、かに座のプレセペ星団、M45は「すばる」とも呼ばれるおうし座のプレアデス星団です。今の時期はこれらすべてが空に出ていて、肉眼(にくがん)で見え、双眼鏡(そうがんきょう)を使えばよりはっきり分かります。

 なお、メシエはそれからさらに星雲や星団などを見つけたので、その番号はM110まであります。

◆島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(みきまさ)