明るい七つを探してみて
目で見える星は、明るい1等星(いっとうせい)からかすかに光る6等星までに分けられますが、冬の星座(せいざ)には1等星が七つもあります。たとえ月明かりがあっても見えますので、探(さが)してみてください。
ところで、夜空にたくさん光る星までの距離(きょり)は、それぞれ違(ちが)います。もしどの星も同じ強さの光を放っているとすれば、明るく見える星は近くにあることになります。はたして、七つの1等星はどれも近いのでしょうか。
1等星の中でも最も明るいおおいぬ座のシリウスは、地球からの距離が8.6光年です。1光年とは光が1年間に進む距離です。光が届(とど)くのに8年以上かかるというと遠いように思えますが、地球のほんの近くにある太陽や惑星(わくせい)などを除(のぞ)けば、それこそ星の数ほどある星の中で6番目の近さです。やはり、近いから明るいのです。
こいぬ座のプロキオン、ふたご座のポルックス、ぎょしゃ座のカペラ、おうし座のアルデバランは、10光年から数十光年離(はな)れたところにあります。これらの星々も比較的(ひかくてき)近いので、明るく見えています。
ところが、オリオン座のベテルギウスの距離はおよそ500光年、リゲルは860光年もあります。遠いのにほかの1等星と同じように見えるのは、星自体がとてつもなく明るく輝(かがや)いているからです。もし、リゲルがシリウスと同じ距離あったなら、シリウスより5000倍ほど明るく見えるはずです。つまり、冬の1等星には、近い星が5個(こ)と、遠く離れた本当に明るい星が2個あるのです。
◆島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(みきまさ)