4月10日は、わが国で女性が初めて参政権を行使した日だ。76年前に行われた戦後初の衆議院選挙。79人の女性が立候補して39人が当選。当選者に占める比率8・4%は当時、世界で上位だったとされる。山陰でも定数4の鳥取全県区で女性議員が誕生した▼それから75年後の昨年の衆院選。女性186人が立候補したものの当選者は45人で比率は9・7%。75年間で1・3ポイントしか伸びず、女性議員の比率は世界でも低位に沈んでいる▼先の衆院選は、男女の候補者の数をできる限り均等にすることを目指す「候補者男女均等法」が2018年に施行されて初の選挙だったが、結果は前回並みの17・7%。拘束力のない「理念法」のためか効果は見られなかった▼76年前の選挙は公職追放中の人が多かったことに加え、定数10以下は2人、定数11以上は3人を連記する「大選挙区制限連記制」だったことが女性の進出につながったようだ。翌年「中選挙区単記制」に戻して行われた衆院選では女性当選者は15人に激減した▼かつて「1人2票制にすれば、しがらみの1票と別に意中の人を選べる」と笑わせた政治家がいた。少子高齢化が進み子育てや介護が政治課題になると女性の視点は重要さを増す。海外では一定比率を女性に割り当てる「クオータ制」が既に進む。このままでは「地方の声」以上に、国民の約半数を占める声が、政治に届きにくい。(己)