「ミスター・パーフェクト」の異名を持つのが、プロ野球巨人の元投手、槙原寛己さん(58)。1994年5月18日、広島相手に完全試合を達成した。史上15人目で平成では唯一の快挙。テレビの生中継にくぎ付けになった▼あれから28年。投手の分業化や球数制限が進み、「完全男」はもう出ないと思っていたが、〝令和の怪物〟がやってくれた。ロッテの佐々木朗希投手がおとといのオリックス戦で達成。高卒3年目の20歳5カ月での快挙は史上最年少、13者連続奪三振はこれまでの9を上回るプロ野球新記録、1試合最多タイとなる計19三振を奪うなど記録ずくめだった▼岩手・大船渡高時代に最速160キロをマークした右腕にはひ弱な印象がつきまとっていた。初の甲子園出場を懸けた高校3年夏の岩手大会決勝は、「故障予防のため」という監督の方針で欠場。プロ1年目も2軍での登板もなく、肉体強化に充てられた。その育成法が花開いた▼もう一つ驚いたのが、バッテリーを組んだのが高卒1年目の18歳松川虎生捕手だったこと。「(緊張より)ワクワクの方が大きかった」と強心臓ぶりを見せつけた▼「最高です。この1試合に終わらず、いい投球を長くできる投手になりたい」と話す佐々木投手に、槙原さんは「近いうちにやりそうな気がしていた」。新たな完全男が、同郷の先輩大谷翔平選手(27)に負けない強烈なインパクトを残した。(健)