西の地平線に立つ「北十字」=12月5日、大田市の三瓶山北の原で撮影(さつえい)
西の地平線に立つ「北十字」=12月5日、大田市の三瓶山北の原で撮影(さつえい)

十字架のようなはくちょう座

 夏の星(せい)座(ざ)とか冬の星座という言い方をよくします。みなさんがまだ起きている時間帯、つまり午後8時や9時ごろによく見える星座を、その季節の星座と呼(よ)びます。

 ただしこれは言い習わされているだけで、どの星座がどの季節に分類されるのかきっちりと決められているわけではありません。また、一つの星座が一つの季節でしか見られないということでもありません。

 例えば、はくちょう座は夏の星座といわれます。確(たし)かに夏の夜の初めごろには東の空に出ていますし、はくちょう座の最も明るい星デネブは、こと座のベガ、わし座のアルタイルとともに、「夏の大(だい)三角(さんかく)」を形作っています。

 しかし、秋になってもはくちょう座は見え、頭の真上あたりまでやってきます。誰(だれ)かが「はくちょう座は秋の星座だ」と言ったとしても、間(ま)違(ちが)いとはいえません。そして、はくちょう座は空に出ている期間が長く、冬のこの時期にも西の空に見えています。

 ところで、翼(つばさ)を広げたようなはくちょう座の星の並(なら)びは分かりやすく、十(じゅう)字(じ)形(がた)にも見えます。そこで、南の国で見られるみなみじゅうじ座、いわゆる「南十字」に対し、「北十字」と呼ばれることがあります。クリスマスの時期、午後7時台に西を向けば、はくちょう座は、まるで地平線の上に立つ十(じゅう)字(じ)架(か)のように見えます。

 冬の山陰(さんいん)地方は雲に閉(と)ざされがちですが、今後もしばらくははくちょう座が見えますので、晴れた夜に探(さが)してください。来年1月2日以(い)降(こう)の数日は、月明かりの影(えい)響(きょう)もなくなり、より見やすくなるでしょう。

◆島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(みきまさ)