約20年に1度の珍めずらしい光景
木(もく)星(せい)の明るさは際立(きわだ)っていて、今ごろの夜のはじめの空では、どの星よりも強く輝(かがや)いています。一方、土(ど)星(せい)は木星には負けますが、空の高いところで光ること座(ざ)のベガと同じぐらいの明るさで、かなり目立ちます。
木星も土星も、太陽の周りを回る惑星(わくせい)です。木星は惑星の中で一番大きく、土星も2番目に大きなうえに周りに立(りっ)派(ぱ)な環(わ)が付いているので、どちらの惑星も太陽の光を多く反射(はんしゃ)して明るく見えています。
その木星と土星が今、夜空で並(なら)んでいます。午後9時ごろだと南東の空低くに出ています。実はこの二つが並ぶのは珍(めずら)しいことなのです。
木星は太陽を約12年で1周し、その外側を回っている土星は、約30年で1周します。内側の木星が時々土星を追い抜(ぬ)くことになるわけですが、それはおよそ20年ごとに起こります。つまり、木星と土星が並ぶのは約20年に1度です。
ですから、小・中学生のみなさんは、初めて見ることになりますね。しかしみなさんの周りには、20年前や40年前の印(いん)象(しょう)的な光景を覚えている大人もいるかもしれません。みなさんもこの眺(なが)めをぜひ目に焼き付けてください。
木星と土星の接近(せっきん)は数カ月間観察できます。夏の間は二つの惑星の間隔(かんかく)が微(び)妙(みょう)に広がっていきますが、秋になると今度はだんだんと狭(せば)まってきます。そして、12月21日には、日の入り後の南西の空で、間隔が月の幅(はば)よりも狭(せま)くなるほどの大接近となりますので、楽しみにしておいてください。
◆島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(みきまさ)