江津市長選に立候補している(届け出順に)中村中氏(左)と山本誉氏
江津市長選に立候補している(届け出順に)中村中氏(左)と山本誉氏

 任期満了に伴う江津市長、市議のダブル選挙が29日に投開票日を迎える。市長選は、届け出順に元国会議員秘書の中村中候補(43)と元島根県議の山本誉候補(64)の無所属2新人が競い合っており、有権者の審判を受ける。次の世代を担う18、19歳と20代の若年層の投票率に注目したい。

 江津市長は1998年から6期24年間、県職員出身の2人がかじを取ってきた。

 乱暴かもしれないが、この間を短い言葉で表すと、「遅れた生活基盤の整備」がテーマだった。

 移転新築した済生会江津総合病院の経営改善や医師確保、市役所周辺の再開発、JR三江線に代わる交通体系の整備など重要課題の解決が次々に求められてきた。

 市民の評価はともかく、少なくとも県庁内では、これらのばくだいな財源確保において、国の官僚や県職員らと渡り合った2人でなければ苦難を乗り越えていくのは難しかっただろう、との声がある。

 選挙で首長未経験の2候補のいずれが勝利するにせよ、待ち受けるのは普通会計の歳入・歳出規模が約200億円の財政運営だ。

 市は、過去の基盤整備に関わる借金の返済などで厳しい財政状況が続いている。新市庁舎の建設や度重なる災害への対応などがあり、返済のピークはこれから訪れる。返済を計画的に進めながら、選挙の争点になっている市西部の小学校統合に伴う校舎整備や、県西部4市の中で明らかに見劣りする図書館建設の是非について、決断が求められる。

 今回の選挙で若い人に投票へ行ってほしいと思うのは、県職員出身の首長が何とか守った土台に、どのような地域をつくるかが問われる「飛躍の時」であるからだ。

 また、2候補が言及する学校や図書館の問題は、子育てや人材育成に大きく関わる。江津市で子どもを育てるとしたらどういう環境がいいか、自分ごととして考えやすい。

 新人の三つどもえとなった昨年4月の松江市長選で、投票率が60・24%だったのに対し、18、19歳は33・86%、20代は38・34%だった。同時期で新人の三つどもえ、投票率が63・11%の出雲市長選は18、19歳が34・92%、20代が37・28%。両市長選とも年代別で最高だった70代とは大きな開きがあり、これまでの傾向をみると、市部で「4割」を超えることは難しい。将来も住み続けるイメージがなかなか持てないのも一因だろうか。

 たとえ、古里を離れる予定であったとしても、いつかは戻るかもしれない。関心をつなぐ一つの〝儀式〟として選挙をとらえてほしい。

    (論説副委員長・万代剛)

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