草刈りに励む地域住民=島根県邑南町内
草刈りに励む地域住民=島根県邑南町内

 山間部が面積の多くを占める山陰両県を取材エリアとしているため、狭い山道を縫うように車で走る機会が多い。夏の盛りに道路脇の草がきれいに刈られているのを見ると、安心するとともに、すがすがしい気持ちになる。ボランティアとして地域の建設会社の社員らさまざまな人が関わっている▼草が伸びていたからといって、道路の安全がすぐに脅かされるわけではないものの、雑草を生やしていると、のり面の点検の際に妨げになり、危険の兆候を見逃しかねない。草刈りは大切な仕事だ▼逆に何年か続けて通っている道で、路肩の草が生え放題だったり、秋から冬にかけて枯れ葉がたまったままだったりすると、胸騒ぎがする。人口減少に伴う地域運営の担い手の減少を感じずにはいられない▼最近、心強く思うのは、地域で草刈りのボランティア隊ができるような動きが活発になっていることだ。同じ地域の住民同士の互助活動だけでなく、外部から初心者の参加者を募って、地元住民と交流する楽しいイベントもある▼ただ、油断は禁物だ。慣れていない人が草刈り機を手にすると、大地に踏ん張りながら回転刃を左右に振る作業は肩に余計な力が入り、どっと疲れる。無駄にエンジンをふかし続けて、あっという間に燃料がなくなる。経験してみると、斜面や足場の悪い場所で淡々と、黙々と作業している人たちがとてもまぶしく見える。(万)