高速バスの車内から撮影した旧広島市民球場跡地。右側中央にライトスタンドの一部が残っていた=6月22日、広島市中区
高速バスの車内から撮影した旧広島市民球場跡地。右側中央にライトスタンドの一部が残っていた=6月22日、広島市中区
一部が残っていたライトスタンドで草刈りをする人たち=2018年6月
一部が残っていたライトスタンドで草刈りをする人たち=2018年6月
高速バスの車内から撮影した旧広島市民球場跡地。右側中央にライトスタンドの一部が残っていた=6月22日、広島市中区
一部が残っていたライトスタンドで草刈りをする人たち=2018年6月

 高速バスで山陰から広島市へ向かう際、目的地や通過点になるのが、市中心部にある広島バスセンター。乗降場所は百貨店の3階と直結し、観光客やビジネス客でにぎわう▼県内外のバスが集まるロータリーから見下ろせるのが、旧広島市民球場の跡地。戦後間もない1950年に市民球団として結成したプロ野球広島カープの本拠地として57年に開場し、新しい市民球場(マツダスタジアム)に役目を譲るまで、向かい合う位置にそびえる原爆ドームとともに、被爆地ヒロシマの「復興のシンボル」として親しまれた▼2012年の解体後、跡地は臨時のイベント会場として利用されていたものの、熱烈なファンが集まったライトスタンドの一部だけは残されていた。ところが、6月下旬に出張で訪ねた際、見慣れたスタンドがなくなっていた▼調べると、広島市は跡地のうち中央部の約6500平方メートルをイベントが開催できる広場として整備しており、スタンドも5月末から2週間かけて撤去された。スタンドの座面の一部は、跡地南側に位置する「勝鯉(しょうり)の森」近くに設ける憩いの場のベンチとして活用するという▼被爆後「75年は草木も生えなぬ」といわれた広島の街は見事に再生を果たした。見慣れたライトスタンドがなくなったのはさみしいが、新たな広場は来春オープンする。これも街の再生の一環だろう。きょうは77年目の「広島原爆の日」。(健)