チラシを作る記者。第1弾は「どんちっち」の文字が目を引くようデザインした=大分県日田市
チラシを作る記者。第1弾は「どんちっち」の文字が目を引くようデザインした=大分県日田市

 古里・大分県日田市で、浜田市の「どんちっちアジ」を売り込む日取りが15、16日の2日間に決まった。JR日田駅近くの商店街が運営する交流館に販売スペースを設けてもらう。
 浜田魚商共同組合の石井信孝事務局長(73)が隣の玖珠町に帰省するタイミングで、初日は一緒に店頭に立つ。2日目は記者1人。地元の人に買ってもらうためにも、売り文句を一つでも多く蓄えなければ。


●令和の行商に●
 仕事の合間、上司に薦められた「峠をこえた魚(いお)」(神崎宣武)のページをめくると、興味深い記述があった。石見地方の海岸部で揚がった鮮魚や加工品は、50年近く前まで地元の女性を中心とした行商人が売り歩いた。遠くは中国山地を越え、広島県庄原市、広島市・可部辺りまで足を延ばしたという。
 行商によって山間部にも魚食文化が根付いた。特に年中手に入る値頃なサバは人気で、塩漬けにして日持ちをよくした。運ぶ間に塩が効き、焼いたり、酢で締めたり、米を詰めたりして食べたらしい。
 今回は中国山地だけでなく関門海峡を越えていく、壮大な行商になりそうだ。
 宣伝のチラシも欠かせない。「山陰・浜田のブランド魚 どんちっち」と大きく書き、イラストを入れ、珍しさを際立たせた。
 チラシを配ってくれる古里の知人にそろって聞かれたことが一つ。「『どんちっち』って?」。浜田で盛んな石見神楽のことだと説明したが「なぜ、神楽が魚のブランド名に結びつくのか」が疑問だったようだ。
 浜田でいかに神楽が愛されているか、認識にギャップがあった。当日は、浜田の土地柄も一緒にアピールしたほうがよさそうだ。


●不安はいろいろ●
 準備を始めた4月末から大分県内では新型コロナウイルスの感染が拡大していた。日田市でも大型連休中に延期していた成人式が中止になり、今月6日には夏の風物詩「祇園祭」の2年連続中止が決まった。
 「古里に、にぎわいを取り戻したい」という気持ちもあったが、まだ早かったようだ。仕入れは多くしすぎず、実家の近くに住む人を励ます2日間にしようと決めた。   「今回つないで、また挑戦しよう」と石井さんも納得してくれた。
 不安がもう一つ。どんちっちアジがまだとれない。いよいよ次回、日田にどんちっちがやってくる…のか。
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どんちっち編第3回は5月23日に掲載。日田で浜田の魚を売り込みます。