南中するカノープス=2022年2月27日、出雲(いずも)市大社(たいしゃ)町で撮影(さつえい)
南中するカノープス=2022年2月27日、出雲(いずも)市大社(たいしゃ)町で撮影(さつえい)

今の時季、地平線ぎりぎりに

 金星(きんせい)や木星(もくせい)などの惑星(わくせい)は別にすると、夜空で光る星の中で最も明るいのは、冬の大三角(だいさんかく)の星の一つ、おおいぬ座(ざ)のシリウスです。では、2番目に明るい星を知っていますか。りゅうこつ座という星座のカノープスといいます。ただ、それは山陰(さんいん)地方からは見える機会が少ない星です。

 カノープスは冬の南の空に出て、地平線ぎりぎりの低いところを西向きに少し進み、すぐに沈(しず)んでしまいます。本来は白く輝(かがや)く星ですが、その低さのために空気の影響(えいきょう)を受けて、赤く色づき、光も弱まって見えます。

 そんな見にくい星だからこそ、見えると縁起(えんぎ)がよいともいわれてきました。ともかく、今の時季が見ごろですから、カノープスを探(さが)してみましょう。

 南に中国山地がある山陰では、山から北に離(はな)れるか、高台(たかだい)に上るなど、真南に低い空が見渡(みわた)せる場所に行く必要があります。天体が真南に差しかかることを南中(なんちゅう)といい、カノープスが南中する時刻(じこく)を知っていれば、その場所で待ち構(かま)えることができます。

 2月1日の松江(まつえ)での南中の時刻は午後9時46分です。山陰なら別の場所でも違(ちが)いは数分です。また、この時刻は1日で4分ずつ早くなり、15日には8時51分、3月1日には7時56分となります。南中の前後数十分、見える可能性(かのうせい)があります。

 カノープスが南中するとき、シリウスの右のミルザムという星が、ほぼ真上にありますので、目安になりますよ。

◆島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(みきまさ)