【松江】益田市出身で、東京芸術大の講師を務める日本画家の川〓(崎の大が立の下の横棒なし)麻央さん(33)=東京都荒川区在住=が、松江市朝日町の一畑百貨店で個展「ウブスナ」を開いている。石見神楽や神話などをモチーフにした31点の作品が来場者を魅了している。26日まで。
川〓(崎の大が立の下の横棒なし)さんは、2020年春の院展で最高賞「郁夫賞」など数々の賞を受賞。絵を描く理由を自問自答する中で、故郷の情景に行き着き、16年から神楽や古事記をテーマに描き始め、17年ごろから地元で個展を開く準備をしてきた。
作品は、浜田市ですかれた和紙に描いた石見神楽シリーズや掛け軸6連作などを展示する。金箔(きんぱく)や銀箔(ぎんぱく)で描いた「茅(ち)の輪」と剣と手を抽出して描き、存在感を放つ「鍾馗(しょうき)」や、髪飾りと衣装の柔らかい印象を描きつつ手で怪しさを表現した「岩戸・アメノウズメ」などが目を引く。額縁は絵に合うものを一つ一つ選んだ。限定グッズも販売する。
川〓(崎の大が立の下の横棒なし)さんは「自分の中の神楽を描いた。地元の人に見てもらい、率直な会話をしたい」と話している。益田市常盤町から訪れた溝口武男さん(77)は「目や手に力が込められ、表情にも躍動感がある。エネルギーをもらえた。地元の誇りに思っている」と絵に見入った。
(片山皓平)