もうすぐ梅雨(つゆ)です。雨の季節ですが、予想外のものが降(ふ)ってくるかもしれません。
アメリカに住むホリーは、野菜の苗(なえ)を空に打ち上げる実験を行います。計画では、数週間後に地球に戻(もど)ってくるはずです。そして『1999年6月29日』(デイヴィッド・ウィーズナー作、江國香織(えぐにかおり)・訳(やく)、ブックローン出版(しゅっぱん))、国中に巨(きょ)大(だい)な野菜が降ってきました。
喜(よろこ)ぶホリーですが、打ち上げていない野菜の出現(しゅつげん)にとまどいます。いったい誰(だれ)の仕業(しわざ)なのでしょうか。そして、ホリーの打ち上げた野菜はどこに消えてしまったのでしょうか。
コールデコット賞(しょう)(毎年アメリカで出版された児童書の中で、最も優(すぐ)れた画家に授与(じゅよ)される賞)を過去(かこ)3度も受賞した著(ちょ)者(しゃ)の、美しいイラストにも注目してみてください。
また、この作品には、私(わたし)たちになじみのない地名や野菜がたくさん出てきます。調べながら読むとさらに面白いですよ。
「今日の天気は晴れのちサンマ、ところによりサバ」こんな天気予報(よほう)を聞いて、商店街の魚屋さんは、商売あがったりだと困(こま)ってしまいます。
そこで、顔なじみの『どろぼうねこの おやぶんさん』(小松申尚(こまつのぶひさ)ぶん、かのうかりん・え、文芸社(ぶんげいしゃ))に相談すると、いつも世話になっているお礼にと、ひと肌脱(はだぬ)いでくれることになりました。結末は読んでからのお楽しみ。奇想天外(きそうてんがい)なストーリーですが、心和(なご)む絵本です。
食べ物だけが降ってくるとは限(かぎ)りません。友達と公園の砂場(すなば)で遊んでいると、空から砂が降ってきて、砂漠(さばく)のような『すなばばば』(鈴木(すずき)のりたけ作・絵、PHP研究所)になってしまいました。
どうやら砂と一緒(いっしょ)に文字まで降ってきたようです。そこにヘンテコなカバが現(あらわ)れて…。この絵本のように、思う存分(ぞんぶん)砂遊びを楽しみたいですね。
こんなものまで降ってきます。『まねきねこだ!!』(高畠那生(たかばたけなお)・作、好学社(こうがくしゃ))は、たくさんの招(まね)き猫(ねこ)が空から降ってくる場面で始まります。まちを埋(う)め尽(つ)くした招き猫は、何かを探(さが)しているようです。そして夜になると…。
読者の想像力(そうぞうりょく)を刺激(しげき)する、奇妙(きみょう)で不思議な絵本です。前作『だるまだ!』(高畠那生・作、好学社)を先に読むことをお勧(すす)めします。
雨が続くと気分が憂(ゆう)うつになりがちですが、空からいろいろなものが降ってくる場面を想像するのも楽しいですね。
(林綾希子(はやしあきこ)・浜田(はまだ)市立金城(かなぎ)図書館司書)