6月も残すところあと少し。学校生活にもすっかり慣(な)れて1学期の終わりが見えてきた日(にち)常(じょう)に、ドキドキする〝こわい本〟はどうですか。
『S(ス)c(ク)rea(リー)m(ム)! 絶叫(ぜっきょう)コレクション 震(ふる)える叫(さけ)び』(R.Lスタイン監(かん)修(しゅう)、三辺(さんべ)律子(りつこ)・訳(やく)、理論社(りろんしゃ)))はアメリカのホラー&(アンド)ミステリー作家の短編(たんぺん)集です。
日本の妖怪(ようかい)や幽霊(ゆうれい)のこわさとはまたひと味違(ちが)い、魔女(まじょ)の呪(のろ)いやゾンビが登場します。うれしいはずのアイスクリーム移動(いどう)販売(はんばい)車の秘密(ひみつ)。絶対(ぜったい)に乗り遅(おく)れてはならなかったいつもの特急列車。読んでいくうちに怪(あや)しくなっていく空気、いやな予感も本の中なら冒険(ぼうけん)できます。
何がこわいかは人それぞれ。だけど「まんじゅうがこわい」という人にはなかなかお目にかかれないと思います。『落語(らくご)絵本 まんじゅうこわい』(川端(かわばた)誠(まこと)・作、クレヨンハウス)は、町の若(わか)い仲間が集まり話をしていると自分の嫌(きら)いな生き物を言いあうことになりました。
みんながこわいものを披露(ひろう)していき、最後に残った松(ま)っつぁんは「まんじゅうがこわい」と言いだします。それを聞いた仲間たちは、まんじゅうを積み上げて松っつぁんをもっとこわがらせようと相談を始めます。さて松っつぁんの反(はん)応(のう)はどうでしょうか。
実は、この「まんじゅうこわい」は古くは中国からきたお話で、高校の教科書にものっています。それが日本に伝わり落語の笑い話になりました。ぜひオチを楽しんでください。
ところで〝こわい〟という気持ちは、どこからやってくるのでしょうか。『ぼく、ひとりでいけるよ』(リリアン=ムーア作、ジョーア=フィアメンギ絵、神宮(じんぐう)輝夫(てるお)・訳(やく)、偕成社(かいせいしゃ))。あらいぐまのリトル・ラクーンは、ひとりで夕ご飯のザリガニをとってくることになりました。明るい満月の夜、森を抜(ぬ)け小川の向こう岸を目指します。
小川にかかっている橋を渡(わた)ろうとした時、リトル・ラクーンが水の中をのぞくと、何かがじーっと見つめてきます。「水のなかのあいつ」は石や棒(ぼう)を持ってきても追い払(はら)えず、リトル・ラクーンは何度も逃(に)げ出し、ついには家まで戻(もど)ってきてしまいます。
そんなリトル・ラクーンにお母さんは思いがけないアドバイスをするのですが、果たしてリトル・ラクーンはザリガニをとってくることができたのでしょうか。
キラキラした夏がもうすぐやってきます。明るい日差しのもとなら、今までこわかったものも何か別のものに見えるかもしれません。
(寺本(てらもと)真紀子(まきこ)・島根中央高校 学校司書)