最近、アマゾンの密林(みつりん)で子どもたちが40日間生き延(の)びて発見されたという驚(おどろ)きのニュースがありましたね。子どもたちが4人全員無事だったのは、森で手に入る食べ物などのサバイバル知識(ちしき)があったからとも報(ほう)じられています。
もうすぐ夏休みで海や山へ遊びに行く人も多いと思いますが、万が一、遭難(そうなん)したりケガをしたりしたらどうしますか?
野外での生活を学べる、『冒険図鑑(ぼうけんずかん)』(さとうち藍(あい)・文、松岡達英(まつおかたつひで)・絵、福音館(ふくいんかん)書店)には、キャンプなどに役立つ知識はもちろん、わき水を探(さが)したり、ろ過(か)したりする方法、火のおこしかたや危(き)険(けん)への対応(たいおう)など、いざというときの対処法(たいしょほう)ものっています。
面白そうな情報(じょうほう)がたくさんあるので、アウトドアで試(ため)してみてもいいかもしれませんね。調べて、準備(じゅんび)して、やってみて、その体験はきっと役に立つはず!
そんなサバイバル知識がこれでもか!と発揮(はっき)されるのが、『神秘(しんぴ)の島』(ジュール・ベルヌ作、清水(しみず)正和(まさかず)・訳(やく)、J・フェラ画、福音館書店)。1865年アメリカの南北戦争のさなか、嵐(あらし)で無人島に不時着した5人の男と一匹(ぴき)の犬が、遭(そう)難(なん)しても慌(あわ)てずたくましく生きる冒険小説です。
技師(ぎし)のサイラス・スミスをはじめとした彼(かれ)らの知識や技術(ぎじゅつ)はすばらしく、島で鳥やカンガルーをとり、アザラシの脂(あぶら)からろうそくを作り、やがては鉄や爆薬(ばくやく)まで作ってしまいます。科学知識を使ってどんどん便利なものを作っていく小気味(こきみ)よさに、わくわくすること間違(まちが)いなしです。
また、井(い)戸(ど)の底の謎(なぞ)の気配や誰(だれ)もつけていないはずの灯(あか)りなど、ときおり不穏(ふおん)な空気がただよいドキドキさせられるところも。
この本は1874年に書かれた小説ですが、日本でも昔、実際(じっさい)に外国まで漂流(ひょうりゅう)してしまった人たちがいたのを知っていますか?
『あきらめなかった男』(小前(こまえ)亮(りょう)・作、おとない ちあき絵、静山社(せいざんしゃ))は、江戸(えど)時代、船で嵐にあい7カ月も漂流したあげく、ロシアに流れついた大黒屋(だいこくや)光太夫(こうだゆう)たちのお話です。
言葉も食べ物も違う極寒(ごくかん)の地で、病に倒(たお)れたり帰国を諦(あきら)めたりする仲間も出る中、光太夫は決して諦めず、言葉を学び協力者を募(つの)り、帰国しようと力を尽(つ)くします。当時、日本と交流のない国で帰国の許可(きょか)を得(え)るため、あの広いロシアを東から西まで横断(おうだん)したのですから、信念と行動力がすごいですよね。
サバイバルで生き残るには、知識と共にタフで諦めない心が必要そうです。あなたも本を開いて一緒(いっしょ)に冒険してみませんか?
(藤原佐緒里(ふじはらさおり)・隠岐(おき)の島(しま)町図書館司書)