ペンシルベニア州立大学図書館のチャットページ
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 在野で小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の足跡を研究している知人の話を紹介したい▼先日、ハーンについて触れられた約90年前のスペイン語の文献が、米国・ペンシルベニア州立大学(PSU)の付属図書館、日本の国立国会図書館と、ある大学の付属図書館の計3カ所に所蔵されていることが分かった。期待はしていなかったが、PSUにチャットで蔵書の内容を問い合わせると「調べてみます。返答はこのメールでよいですか」とすぐに反応があり、5時間余りで関係分のPDFファイルが送信されてきたという。代金は無料だった▼図書館によるデジタル資料の公開サービスは日本でも充実してきているが、誰でも、どこからでも、いつでも-の3拍子そろったサービスを提供してくれる米国の公共、大学図書館の実力は抜きんでている▼全世界からの問い合わせに迅速に応えていくことは、日本ではすぐにはできないかもしれない。それでもある程度の人員と予算をかければ、郷土資料のPDF化の大幅な拡充、著作権法をクリアした上での請求資料のPDFファイル送信、複写代金の電子決済化などは、地域の公共図書館や大学図書館でも対応できるのではないか▼要は政策の優先順位の問題で、古代文化に関わる文献資料など、島根や鳥取が誇る遺産の活用と対外発信は、行政のデジタル化で、もっと上位に位置付けられてもいいと思う。(万)