さて問題です。「強か」これは何と読むでしょう。正解(せいかい)は「したたか」です。意味は「ねばり強くて屈(くっ)しないさま。手ごわい様子」です。
「強いる」はどうですか? これは「しいる」と読んで、「無理にさせる」という意味になります。では最後に「強い」の「つよい」以外の読み方が分かりますか? 実はこれ「こわい」とも読むんです。
ひとつの漢字でこれだけたくさんの読み方があるのってすごくないですか? 知っている漢字なのに意外な読み方があったり、外国の言葉にいろいろな漢字をあてていたり、漢字ってとても奥(おく)深いです。
こんな漢字のさまざまなうんちく(=知(ち)識(しき)・雑学(ざつがく))を知りたければ『あした話したくなる おもしろすぎる漢字の世界』(青木伸生(あおきのぶお)・監修(かんしゅう)、朝日新聞出版(しゅっぱん))を読んでみましょう。読んだら誰(だれ)かに話さずにはいられなくなりますよ。
もう少し漢字の基本(きほん)から知りたいという人には『部首から知る漢字のなりたち』(落合淳思(おちあいあつし)・監修、理論社(りろんしゃ))をおすすめします。小学校で習う漢字の部首について、ひとつひとつくわしく解説(かいせつ)がしてあります。
「門」は部首としては「もんがまえ」と言いますね。では、もんがまえの漢字をいろいろ思い浮(う)かべてみてください。どうでしょう? たくさん思いつきましたか?
「問」「悶(もん)」「聞」の漢字を思い浮(う)かべた人はいるでしょうか? 実はそれらの部首は、もんがまえではなくそれぞれ「口」「心」「耳」なんですよ。だまされちゃいますよね。
ほかにも「へぇ~」となることがたくさん書いてありますよ。
でもやっぱり漢字とか好きになれないんだよね、という人にはこれ。『かんじるえ』(大谷陽一郎(おおたによういちろう)、福音館(ふくいんかん)書店)です。漢字はたくさん書いてありますが、文章は全然書いてありません。
え? 意味が分からないって? とにかく本を見れば分かります。表紙をふくめ、この本にはすてきな絵がたくさん書いてあります。まずは遠くから。そしてだんだん近づいてみると…?
絵のひとつひとつが漢字の集合でできているのが分かります。同じ場所の絵でも、遠くからの絵と、近くからの絵では、使われている漢字がちがっています。
たとえば海。遠くから見ると「海」ですが、近くから見ると海は「水」や「塩」や「波」で構成(こうせい)されています。ほかの絵もどんな漢字で作られているのか、すみずみまでじっくり見てください。
どうですか? 少しは漢字が好きになってきましたか? 覚えるのは大変かもしれませんが、今日紹介(しょうかい)したような本を読みながら、楽しく漢字が覚えられたらいいですよね。
(安田雅子(やすだまさこ)・川本町立川本小学校図書館司書)