大谷翔平選手が日本国内の全小学校にグラブを寄贈すると発表したインスタグラム
大谷翔平選手が日本国内の全小学校にグラブを寄贈すると発表したインスタグラム

 枕元に置くのは最後と決めたその年のクリスマスのプレゼントは、当の息子の希望も聞かず野球のグラブを選んだ。

 本人はプラスチック製のバットを振ったことがある程度。それでも一つは持っていてほしかった。「野球しようぜ!」のメッセージと共に、メジャーリーガーの大谷翔平選手が全国の小学校へ計6万個のグラブを贈るというニュースは、十何年も前のそんな気持ちを思い出させてくれた。

 公益財団法人日本スポーツ協会によると、競技別のスポーツ少年団の登録団員数は、野球(軟式)が依然トップ。ただ、2022年度の11万756人は、02年の16万3019人から3割以上減少した。他の競技も減っており、大きいのは野球人気の陰りというより少子化の影響かもしれないが、9人がそろわず、中学校や高校の大会で合同チームが目立つようになったのはやはり寂しい。

 20年間の数字を追うと希望も見えてくる。女子選手の増加だ。島根は41人から93人、鳥取も30人から60人にそれぞれ倍増。日本代表の小島也弥選手(松江市出身)や島根中央高女子硬式野球部という目標や受け皿があるのも励みだろう。

 もちろん、子どもたちがメジャーと呼ばれる競技ばかりに集まればいいとは思わない。まずは魅力を知って楽しみ、それぞれの目標を見つけてほしい。何年も後になって振り返った時、グラブはより大きな意味を持っているかもしれない。(吉)