「先生」という言葉の定義は幅広い。学校の教師が一般的だが、習い事の師匠や医師、議員など政治家に使う場合もある。要は指導的立場にある人への敬称といったところ。だとすれば「先生のくせに」と子どもたちから非難を浴びそうだ▼宮城県大河原町で、男性町議(73)が議場でスマートフォンゲームをしているのを、社会科の授業で一般質問を見学していた地元の小学6年生が目撃。感想文に「(ゲームの)ツムツムをしている人がいた」「議員で働く人としていいのか」などと書いていたことが分かった▼町議は議長経験もある5期目のベテラン。「議場でゲームをしたのは事実だが、本会議中にした記憶はない」「電卓を開こうとしてついゲームを触ったと思う」と言い訳しているが、さすがに無理がある。傍聴席に誰がいようとお構いなしで、緊張感なく触っていたのではと疑いたくなる▼国政に目を向ければ、選挙区内の複数の有権者に対し違法に香典を渡した疑いが強まったとして、東京地検特捜部が公選法違反容疑で自民党の堀井学衆院議員の関係先を家宅捜索した。離党に追い込まれた堀井氏は事務所内で違法性を複数回指摘されたが「慣例としてやってきた。いきなりやめることはできない」と話していたという。こちらも緊張感がない▼「先生のくせに決められたルールも守れないの」。議員の失態に子どもの批判が聞こえてきそうだ。(健)