「餅は餅屋」という。何事も専門家に任せるのが一番というたとえ。とはいえ、右肩上がりの経済成長はとっくの昔に終わり、人口減少に歯止めがかからない。活路を求めて新たな業種に挑むのは当然のご時世だ
餅屋ならぬ〝ボール屋〟がロボットコンテスト(ロボコン)を開催する―。聞いただけで違和感たっぷりなイベントが先日、広島市で開かれた。主催したのは、島根スサノオマジックが所属するバスケットボールBリーグの公式球も提供するスポーツ用品メーカーのモルテン(広島市)。改めて「どうして」という疑問が口をつく
ボール製造のイメージが強いが、実は国内事業の大きな柱は、樹脂技術を生かした自動車部品の製造部門。ものづくりの高度化にはロボット工学の知見が必要と意義づけ、技術者や学生を交えた情報交換の場「ROX(ロックス)」を設立した。ロボコンは活動の第1弾
参加したのは中四国地区などの高専や大学5チーム。遠くのゴールにボールを入れるなど3競技で、性能や操作技術を競った。山陰からの参加はなかったが、主催者側の担当には松江高専の卒業生もいる。ロボット工学に関心を抱く山陰の学生にも刺激になるだろう
モルテンには優秀な人材の採用に生かす狙いもある。学生優位の売り手市場が続き、山陰の企業も人材確保に苦慮しているが、採用活動には直球だけではなく変化球も必要なようだ。(健)













