参院本会議で代表質問する立憲民主党の田名部匡代参院幹事長。奥右は石破茂首相=8日
参院本会議で代表質問する立憲民主党の田名部匡代参院幹事長。奥右は石破茂首相=8日

 道すがら家屋やビルの解体現場に出くわすと、興味があって遠目に眺めている。建築に詳しいわけではないが、立派な梁(はり)を目にすると、人の暮らしや仕事を長年支えてきた経緯をつい想像してしまう▼「解」には「角」「刀」「牛」の3文字から成り立つことが示す通り、物の構造をばらばらにするという意味がある。「刀」は昔は両手の動作を意味する「臼」だったとされる。漢字のルーツである甲骨文字を見ると、牛の角を両手でつかもうとしているようにも見える▼「解」にはもう一つ「わかる」という意味もある。「理解」「読解」などがそれに当てはまる。いつの時代に、なぜ、そのような意味が加わったのかは、残念ながら“わからない”。昔の人たちが動物などを解きほぐしてみたら、未知の構造や仕組みがたくさん見つかり、知見として蓄えていくうちにどんどん賢くなり、その過程を「解」という文字に込めたのではないか、と勝手に想像してみる▼だからこそ「解(わか)る」は、森羅万象の出来事や感情も対象となる「分かる」より、使われる範囲が限定的でなくてはならないと思うが、どうだろう▼きょうは政治の一大局面となる衆院の「解散」が行われる。新政権発足からわずか9日目は戦後最短。きのうまで開かれた衆参両院の代表質問も、通り一遍のやりとりでは論点が「解った」とは言い難い。解散より、衆院「分散」と言うべきか。(万)