商品やサービスに満足した人はその話を3人に伝え、不満に感じた人は33人に広める-。悪い噂(うわさ)ほど広がりやすいという例えで、「3対33の法則」とも言われる。現代のネット社会において、拡散のスピードは11倍速では収まりそうにない。
「トカラの法則」なるものが今、交流サイト(SNS)を中心に話題になっている。鹿児島県のトカラ列島近海で頻発している地震を、日本国内で大地震が起きる前触れとする風説だ。
東日本大震災や熊本地震、遡(さかのぼ)れば2000年の鳥取県西部地震の発生直前もトカラ近海で群発地震が観測されていたのだとか。漫画の予言を発端とする「7月大災害」説も噂の広がりに拍車をかけているに違いない。専門家はいずれも「科学的根拠がない」「地震は予知できない」と否定している。
デマと分かっていながらどことなく気味悪いのは、あまりに短かった梅雨、明けてからの連日の猛暑、各地で発生するゲリラ雷雨と、地球の異変をひしひしと感じるから。「何か起こるのでは」と思わせるのに十分すぎる。
トカラ列島の地震の収束を願いつつ、今やるべきことは、家庭内の食品備蓄や防災用品の点検だろう。人は体温の保持ができない状態で3時間、水分摂取ができない状態で3日、食料補給ができない状態だと3週間しか生きていられない-。こちらは災害時に生き延びるための「333の法則」と言う。備えは万全に。(史)