つなぐと目印になる星たち
線でつなぐと目印(めじるし)になるような星の並(なら)びをアステリズムといいます。星座(せいざ)の一部分の星を結んだり、いくつかの異(こと)なる星座の星を結んだりしてできるアステリズムには、親しみやすい名前がついています。
それでは、今の季節に見えているアステリズムを紹介(しょうかい)しましょう。まず、空の高いところでよく目につくのが「北斗七星(ほくとしちせい)」です。それはおおぐま座にあって、七つの星がひしゃくの形に並んでいます。
ひしゃくの柄(え)は曲がっているので、そのカーブを延(の)ばしていくと、うしかい座のアークトゥルスに届(とど)き、さらに延ばすと、おとめ座のスピカに至(いた)ります。これは「春の大曲線」と呼(よ)ばれています。
アークトゥルスとスピカに、しし座のデネボラという星を加えると、「春の大三角(だいさんかく)」になります。さらにもう一つ、りょうけん座のコルカロリを足せば、今度はひし形が描(えが)けます。これを「春のダイヤモンド」といいます。
ところで、これらのアステリズムは、世界共通ではありません。例えば、春の大曲線は日本で考えられたものなので、外国ではあまり知られていません。また、欧米(おうべい)では、春の大三角はデネボラの代わりに、同じしし座のレグルスを使ったより大きな三角形にすることが多いようです。
このようにアステリズムは、星座とは違(ちが)い、きっちりと決められたものではありません。ですから、皆(みな)さんも自由にアステリズムを作ってみてはいかがでしょうか。
◆島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(みきまさ)