子どもの心理状況を観察するのに利用するフィギュアを紹介(しょうかい)する家裁調査官の柿雅人さん。人の人生に関わることを生涯の仕事としてやっていきたいと話す=松江市母衣町、松江家庭裁判所
子どもの心理状況を観察するのに利用するフィギュアを紹介(しょうかい)する家裁調査官の柿雅人さん。人の人生に関わることを生涯の仕事としてやっていきたいと話す=松江市母衣町、松江家庭裁判所

家庭裁判所調査官
柿(かき) 雅人(まさと)さん(松江市母衣町)

 夫婦(ふうふ)や親子、親族(しんぞく)の問題を取り扱(あつ)う家(か)事(じ)事(じ)件(けん)や、20歳(さい)未(み)満(まん)の人による非(ひ)行(こう)などの少年事件について原(げん)因(いん)や背(はい)景(けい)などを調べ、適(てき)切(せつ)な改(かい)善(ぜん)策(さく)を検(けん)討(とう)し、裁判官の判断(はんだん)材料になる報(ほう)告(こく)書をまとめるのが家庭裁(さい)判(ばん)所(しょ)調(ちょう)査(さ)官(かん)(家裁調査官)。松(まつ)江(え)家裁(松江市母(ほ)衣(ろ)町)調査官の柿(かき)雅(まさ)人(と)さん(26)は、「その人の人生に関わる仕事であることを忘(わす)れずにやっていきたい」と話します。

 柿さんたち調査官が関わる人は、離(り)婚(こん)あるいは別(べっ)居(きょ)し子どもを誰(だれ)が育てるか争う親や、非行をした少年少女などさまざま。背(はい)景(けい)にはそれぞれ複(ふく)雑(ざつ)な事(じ)情(じょう)や感情があり、その解(かい)決(けつ)のため、本人への面(めん)接(せつ)や心理テストなどを実(じっ)施(し)して家庭や生活の状(じょう)況(きょう)などを明らかにします。時には関係機関に問い合わせることもあります。常(つね)に本人たちに寄(よ)り添(そ)いながらその人の声に耳を傾(かたむ)け、場合によっては自分を深く見つめる内(ない)省(せい)を促(うなが)す働き掛(か)けをします。

 例えば、子どもの養(よう)育(いく)を巡(めぐ)る争いでは両親の言い分だけでなく、子どもの気持ちも聴(き)きます。非行をした子どもには、なぜしたのか理由をじっくり聴きます。

 裁判所1階の一室。人形や動物、乗り物などのフィギュアや絵本、ままごとセットなどが備(そな)えられた部屋では、子どもが思い思いのフィギュアを並(なら)べる様子や、お父さんやお母さんとままごとをする時の表情、一(いっ)緒(しょ)に過(す)ごしている様子などを観察し、今どんな気持ちなのかをつかみます。

 中には、心を閉(と)ざし全く話をしてくれなかったり、非行を繰(く)り返したりする子がいるケースもあり、無力さを感じる時も。逆(ぎゃく)に、自分の行いを自覚し非行から立ち直ってくれた場合などに仕事の喜(よころ)びを感じます。「家裁調査官には相手がどんな人か、どんな人生を送ってきたかをしっかり考えている人が多い。諦(あきら)めず粘(ねば)り強くやれる人が向いています」と話します。

 国家公(こう)務(む)員(いん)でもある調査官は、裁判所職(しょく)員(いん)採(さい)用(よう)総(そう)合(ごう)職試験に合(ごう)格(かく)し、「家裁調査官補(ほ)」に採用されないとなれません。柿さんは、予(よ)備(び)校(こう)で筆記試験の勉強や面接対策をし、面接は仲間同(どう)士(し)で練習を積みました。

 松江家裁に赴(ふ)任(にん)して3年目。柿さんは「専(せん)門(もん)知(ち)識(しき)をより深めて非行少年の立ち直りや家族の再(さい)出発に力を尽(つ)くしたい」と張(は)り切っています。

 

★メッセージ
 大学で学んだ心理学を生かし、家族や子どもの問題に関わる仕事がしたいと思い、家裁調(ちょう)査(さ)官(かん)になりました。人の人生に関わる仕事なので、日々悩(なや)みは多いですが、やりがいを感じています。みなさんも自分が関心のあること、やりたいことを探(さが)し、大事にすることが職(しょく)業(ぎょう)選びには必要だと思います。