「中秋の名月」は9月10日
もうすぐお月見の日がやってきます。十五夜(じゅうごや)といいますが、なぜそう呼(よ)ばれるのでしょうか。
江戸(えど)時代までは、太陰暦(たいいんれき)という月を基準(きじゅん)にした暦(こよみ)を使っていました。今は旧暦(きゅうれき)とも呼ばれるその暦では、新月(しんげつ)の日が一日(ついたち)と定められていました。十五夜とは15日の夜のことで、そのころは月がおおむね満月(まんげつ)になります。
十五夜は毎月めぐってきますが、お月見の習わしがある旧暦8月15日の夜を特に十五夜と呼んでいます。また、その夜の月は中秋(ちゅうしゅう)の名月(めいげつ)といって、アジアでは昔からそれを見て楽しむ慣習(かんしゅう)がありました。日本ではススキやお団子(だんご)などを供(そな)えますね。
普段(ふだん)はあまり夜空を見上げない人を含(ふく)め、多くの人が一斉(いっせい)に月に目を向け思いをはせるというのは、すばらしいことだと思います。今年の十五夜は、9月10日です。
松江での月の出の時刻(じこく)は、日の入り後すぐの午後6時38分で、山陰(さんいん)地方ならほかの場所でも数分しか違(ちが)いません。その後空が少し暗くなったころには、東の空で明るく輝(かがや)き出しますから、ウサギのような模様(もよう)もよく見えることでしょう。双眼鏡(そうがんきょう)を使って楽しむのもおすすめです。
しかし、天気が悪くて見えないこともあります。その場合もあきらめないで、次の日、つまり旧暦16日の十六夜(いざよい)の月を見てください。月の出は、前日より少し遅(おそ)くなって、松江では午後7時8分。その次の日も、さらに30分ほど遅く昇(のぼ)ってくるだけなので、月が見やすい夜はしばらく続きます。
◆島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(みきまさ)