ハッブル宇宙(うちゅう)望遠鏡が撮影(さつえい)した土星 NASA,ESA,A.Simon(Goddard Space Flight Center),and M.H.Wong(University of California,Berkeley) and the OPAL team
ハッブル宇宙(うちゅう)望遠鏡が撮影(さつえい)した土星 NASA,ESA,A.Simon(Goddard Space Flight Center),and M.H.Wong(University of California,Berkeley) and the OPAL team

  環が付いた不思議な形

 土星(どせい)というと、環(わ)のある姿(すがた)がすぐに頭に浮(う)かぶのではないでしょうか。地球の兄弟星といっていい惑星(わくせい)の中でも、ひときわ不思議な形をしています。

 ガスでできた土星の丸い本体は、直径が地球の9倍あります。ですから、その周りの環の幅(はば)も地球三つ分ぐらいありそうだと、写真から見て取れますね。環はおもに氷のかけらが薄(うす)く集まってできていて、明るく見えている環の内側にも外側にも、さらに薄くて暗い環が広がっています。

 そんな土星の姿を、人々は昔から知っていたわけではありません。初めて土星に望遠鏡(ぼうえんきょう)を向けたのは、イタリアの天文学者ガリレオです。土星に何か付いていることは分かったので、「土星に耳がある」と表現(ひょうげん)したそうです。それを環だと見破(みやぶ)ったのはオランダのホイヘンスでした。

 17世紀(せいき)に活躍(かつやく)した彼(かれ)らが使った望遠鏡は、まだ発明されたばかりで、性能(せいのう)があまりよくありませんでした。しかし、今なら小さな望遠鏡でも土星の環を十分見分けることができますので、もし持っていたら挑戦(ちょうせん)してください。

 その土星が今見ごろを迎(むか)えています。夜のはじめなら、南東の空に明るく光っています。

 望遠鏡を持っていなくても、今の時期は各地の公開天文台や、科学館などのイベントで土星を観察することができます。この先秋の間はよく見えていますので、ぜひ足を運んでください。

◆島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(みきまさ)