島根県邑南町と広島県で飲食店を展開するローカルフードラボ(邑南町矢上)が、出張型屋外レストランを始めた。新型コロナウイルス禍を踏まえ、密を避けながら自然の中で食事を楽しめる。依頼を受けて出向くが、29日には地元の観光スポット・香木の森公園(同)で初めてイベント的に開催。観光と絡めた展開の手応えをつかんだ。
同社はコロナの影響で、広島市内で経営していたステーキ店を2020年10月に閉店した。コロナ禍での事業を模索する中で、佐藤聡社長(40)が「田舎の風景の中で非日常を楽しめる観光コンテンツを作りたい」と、キッチンカーでの出張レストランを考案した。
昨夏に邑南町内の空き地で試験的に行った後、国営備北丘陵公園(広島県庄原市)などこれまで島根、広島両県内の10カ所に出向いた。個人だけでなく企業などからも要望が多くあるという。
この日は、見頃を迎えた香木の森公園のバラ園で、国産和牛を使ったローストビーフ丼とバラを使った特製ジュースを販売し、訪れた観光客らが風景を楽しみながら味わった。
浜田市竹迫町の会社員、槇森美由紀さん(63)は「屋外でコロナの心配をせずに、バラを見ながら飲食できて普段以上においしく感じられた」と喜んだ。
佐藤社長は「今後は企業とコラボした観光体験作りも行う。地域の新しい魅力を作っていきたい」と意気込んだ。 (糸賀淳也)