社会問題化している熱中症を防ぐための指標に「暑さ指数」がある。最高気温に加えて最小湿度と日射量を考慮して数値をはじき出す。例えば、前日に比べて最高気温が低くても、最小湿度が高く、日射量が多ければ暑さ指数は上回り、熱中症の救急搬送者数が多いということがあり得る▼2021年4月からは、環境省がこの数値の予測に基づき、熱中症警戒アラートを公表している。全国を58地点に分けた地図上に、赤色で示される▼テレビからも情報が得られるが、30度以上の「真夏日」や、35度以上の「猛暑日」など、最高気温の予報や結果を見てその日や次の日にどう動くか考える癖が付いており、なじみが薄いのが実情だ▼最高気温は、記録を更新すると逆手に取って「アツいまち」とアピールする自治体も出てきている。それぞれ暑さ対策は考えており、アピールすること自体は決して悪いことではない。ただ、健康維持にとって良い数字であるはずがなく、やはり暑さを警戒し、正しく恐れるための数値は別に必要であると思う▼その意味で、暑さ指数はそれを見て純粋に行動の良しあしを測る数値として、もっと活用されるべきだ。指数の観測状況と熱中症の救急搬送者数の相関関係については検証が続けられている。一定の数値を超えた場合はイベントを中止する、など責任者が的確な判断ができるよう精度をさらに高めてほしい。(万)