取材先の東京・永田町で国会議員の事務所を回っていると、島根県から上京し、秘書らに面会する関係者がマスクを着けていることが話題になった。「島根で新型コロナウイルスが増えているから」というのが理由のようだ。7月下旬にあった全国知事会議でも多くの知事が外す中、丸山達也知事は着用したままだった▼新型コロナの感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザ並みの5類に移行後、初めての夏を迎えた。都内は周囲を見渡してもマスクをする人の方が少ない。一方、島根県内は医療機関や高齢者福祉施設でクラスター(感染者集団)が相次ぐのは気がかりだ。お盆の帰省で人の往来は増える。改めて手洗いやうがいといった予防策を徹底したい▼この時期になると、思い出す取材がある。立正大淞南高校サッカー部で100人規模のクラスターが発生した。ちょうど3年前の本紙1面が発生直後の衝撃を伝える▼当時も気温の高い日が続き、学校は当初、熱中症を疑ってPCR検査の判断が遅れた。生徒への誹(ひ)謗(ぼう)中傷も問題になった。教訓を胸に刻む▼1年後の2021年8月10日は台風9号が通過し、記録的な大雨となった島根県西部や隠岐の被害状況をまとめた。今年も台風6号に続き7号が日本列島へ向かう。コロナや大雨に翻弄(ほんろう)されるお盆が繰り返されないことを願うばかりだ。頭の片隅では備えや注意を払いながら過ごしたい。(吏)