特効薬が発明されてもなお、ハンセン病患者を強制的に隔離し続けた1953年の新法「らい予防法」制定から今年で70年。瀬戸内海に浮かぶ長島にある、国立ハンセン病療養所・長島愛生園(岡山県瀬戸内市邑久町虫明)を訪ねた。入所者の当時の暮らしと、私たちは負の歴史から何を学ぶべきか継承の在り方を聞いた。(報道部・小引久実)

療養所を訪れた島根県の看護学生からもらった色紙を眺める石井和夫さん=岡山県瀬戸内市邑久町虫明、長島愛生園

 島根県西部出身の石井和夫さん(83)は、22歳からずっと、長島愛生園で暮らす。数年で家に帰るつもりだったのに60年が過ぎた。

 中学2年生のころ、得意だった長距離走ができなくなり、20歳ごろからは眉毛が抜け始めた。眼科医に勧められ保健所に行くと、長島愛生園への紹介状を渡された。病名が分からないまま...