昨年4月、岡山県倉敷市で開かれた先進7カ国(G7)労働雇用相会合。高齢者の働きやすい環境整備についても議論した
昨年4月、岡山県倉敷市で開かれた先進7カ国(G7)労働雇用相会合。高齢者の働きやすい環境整備についても議論した

 先日乗車した特急「やくも」で、JR松江駅から岡山駅まで3時間近く立ちっぱなしになった。切符を当日に買ったのが間違いのもと。既に席はいっぱいで「立ち席」しかなかった。脚はだるく、疲労困憊(こんぱい)。早めに準備しなかったことを悔いた。

 2本足で立つことを実感した時間でもあった。諸説があるようだが、人類が直立二足歩行するようになったのは、生存に有利になるように進化したからだろう。事実、これだけの文明を築き上げた。立ち続けることにも感謝しないといけないのかもしれない。

 高度に発展した社会も「進化」の歩みを止めることはない。人工知能(AI)の活用など拍車がかかっているようで、スピードについていけていない自分を感じる。「昔ながら」が残っていた働き方も改革が進む。長時間労働の是正、柔軟な働き方の推進と、健康的に生き生きと働けるなら幸福度も上がるだろう。

 その中で気にかかるのが、減少を続ける15~64歳の生産年齢人口。2065年には約4800万人になり、20年と比べて約2700万人も少なくなるという推計がある。

 重要になってくるのが、高齢者の就労促進だ。元気なシルバー世代はたくさんおられる。今でもさまざまな分野で労働力不足が叫ばれ、高齢者が長年の経験を発揮できる仕組みづくりは待ったなしだ。超ベテランになっても元気でいられるように足腰の健康は保たねばなるまい。(彦)