「ブリロの箱」を模した小箱に入ったお菓子(左)と、ブリロの箱が表紙に印刷された開館記念展のリーフレット
「ブリロの箱」を模した小箱に入ったお菓子(左)と、ブリロの箱が表紙に印刷された開館記念展のリーフレット

 宝石など貴金属を入れておく宝石箱に、子どもがひっくり返すのがお決まりのおもちゃ箱、昔話の「浦島太郎」に登場する玉手箱…。箱にもいろいろあるが、どれも中に何か入っているか、入れるものと相場は決まっている。とはいえ例外もある。倉吉市の鳥取県立美術館で展示されている「ブリロの箱」だ。

 ポップアートの巨匠アンディ・ウォーホルが実際に市販されている台所用たわしの箱を模倣した作品で、県は5箱を購入。計約3億円という購入価格が物議を醸している。

 重箱の隅をつつくわけではないが、「何も入っていない“ただの箱”に3億円も払うの」という疑問の声があるのは当然だろう。一方で宣伝効果は抜群だ。話題の箱を目当てに3月30日の開館時から多くの客が訪れ、通算入館者数は今月14日に10万人を突破。20万人を掲げる年間目標の半数を、わずか2カ月半で達成してしまった。

 館内のミュージアムショップでは、ブリロの箱を模した小箱に入ったクッキーやキャンディーの売れ行きが好調。近隣の道の駅やスーパーでも見つけた。経済を活性化させる“ドル箱”でもある。

 県は保有の是非を判断するため、入館者にアンケートを実施。「保有を続けてほしい」「説明を充実させてほしい」が計6割を占め、保有に否定的な回答は2割ほどという。いずれ“賞味期限”もやって来るだろうが、お払い箱にするのはもったいない。(健)