2021年も残り1日―。今年は東京五輪パラリンピックをはじめ、大きなイベントが目白押しだった。五輪パラでは山陰両県出身選手が躍動し、聖火リレーが地域を盛り上げた。一方で、大規模な火災や豪雨が両県に大きな被害をもたらし、あらためて自然や災害の恐ろしさを思い知らされた。
 山陰中央新報では4月から、電子版サービス「山陰中央新報デジタル(Sデジ)」を始めるなど、デジタルサービスを本格化させた1年だった。Sデジ編集部が、試行錯誤しながら撮影に挑んだ動画(一部は提供)で山陰両県の1年を振り返る。

 

▼1月26日 ダイオウイカ現る
 世界最大級の無脊椎動物として知られるダイオウイカが、出雲市猪目町の猪目漁港で、生きた状態で見つかった。胴体の長さ167センチ、体重170キロで、回収した水族館アクアス(浜田市、江津市)によると、同館が生きたダイオウイカを確認したのは初めて。
 見つかったのは1月26日昼ごろ。漁港の入り口に大きなイカがいるとの知らせを受けた同漁港に船を持つ漁業者が、ボートで港内に引っ張り、岸壁にロープで係留した。
出雲市で生きたダイオウイカ見つかる

▼4月1日 松江・加賀で大規模火災
 松江市島根町加賀で4月1日夕、大規模な火災が発生し、22棟が全焼した。強風にあおられて家屋が密集した漁業集落に燃え広がり、建物のほか、山林を焼いて約22時間後に鎮火した。部分焼2棟、ぼや8棟を含む焼失面積は計約2573平方メートルに上り、計4人が軽いけがを負った。火元や出火原因はいまだに判明していない。市は今月、被災地の道路拡幅に着手する方針を打ち出した。
島根町加賀の火災 被害30棟、3人けが 22時間後鎮火
【動画あり】「もうそこまで来てる」民家を飲み込む炎
島根町大火から一夜 Sデジ記者が見た光景

▼4月18日 松江市長選で上定氏当選
 4月の松江市長選は元政府系金融機関職員の上定昭仁氏(48)が戦後2番目の若さで当選し、旧市時代を含めると20年10カ月ぶりに市長が交代した。出雲市長選も4月にあり、元市議の飯塚俊之氏(55)が他候補を寄せ付けず圧勝した。雲南市長選は前市長の辞職に伴って1月末に投開票され、元県職員の石飛厚志氏(54)が前市部長との一騎打ちを制した。
松江市長に上定氏(選挙特集ページ)

▼5月 山陰両県で聖火リレー
 島根県の丸山達也知事が2月17日、東京五輪の聖火リレーの中止を検討すると表明。全国に大きな波紋を広げた。新型コロナの感染拡大を封じ込められない東京都の対応改善や政府に経済支援を促す狙いがあり、最終的にリレーは5月15、16日に予定通り実施し、14市町村で計175人がつないだ。鳥取のリレーは5月21、22日にあり、計164人・組で全19市町村、約31キロを巡った。
 ・聖火 島根駆ける 津和野-邑南、7市町村 リレー初日
 ・175人つないだ灯 広島へ 島根聖火リレー完走
 ・鳥取聖火リレー出発 境港-倉吉 10市町村つなぐ
 ・31キロつなぎ兵庫へ 鳥取聖火リレー ゴール
 ・聖火トーチ持ってみよう 本社ロビー 展示始める

▼7~8月 東京五輪・パラリンピックで山陰勢活躍
 東京五輪ボクシング女子フェザー級で米子市出身の入江聖奈選手(20)=日体大、米子西高出=が金メダルを獲得した。個人種目での頂点は山陰勢で初めて。陸上男子3000メートル障害で浜田市出身の三浦龍司(19)=順大、浜田東中―京都・洛南高出=が7位に入り、この種目で日本勢初の入賞を果たした。パラリンピックにも車いすテニス男子の三木拓也選手(出雲市出身)らが出場し、奮闘した。
東京五輪・島根県、鳥取県ゆかりの選手の活躍(特設ページ)

▼7~8月 山陰で豪雨
 島根県では、7、8月に記録的な豪雨や台風に襲われ、各地で土砂崩れや家屋浸水が相次いだ。松江、雲南、江津の3市と飯南町で5段階の警戒レベルで最も高い避難情報「緊急安全確保」が発令され、江の川では2018年と20年に続いて氾濫が発生。雲南市でも斜面が崩落するなどして甚大な爪痕を残した。8月中旬には出雲市多伎町小田で大規模な地滑りが発生し、国道9号やJR山陰線が長期不通となった。
 鳥取県でも、豪雨により、7月上旬に県内で被害が相次いだ。8日、倉吉市の中山精工鳥取工場の裏山で土砂崩れが発生。土砂が工場内に流れ込み、男性3人が巻き込まれた。2人が自力で脱出し、一時生き埋めとなった1人は消防が救助。命に別条はなかった。県内の農林関係被害は約45億3700万円に及び、直近10年の大雨や豪雪など気象に関わる災害の被害で最高となった。
(7月)
 ・山陰豪雨 深い爪痕 冠水や土砂崩落多発
 ・倉吉で土砂崩れ3人けが 山陰豪雨 45万人超に避難指示
 ・【写真】12日の山陰大雨、各地の様子
 ・尾道松江線と国道54号 陰陽大動脈 2本が寸断
(8月)
 ・山陰再び大雨 強風爪痕も 河川増水に不安と疲労
 ・江の川 氾濫危険水位超え 江津市 5800人超に避難指示

▼出雲・多伎で地滑り(8月)
 ・記者回顧 多伎地滑り 通学影響 ネットで議論に
 ・【動画あり】きょうから片側通行 出雲・多伎の国道9号
 ・バスが通れない! 列車運休で困った学生をサポート 善意の園長先生

▼9月17日 竹下亘氏が死去
 竹下亘元復興相が9月17日、74歳で死去した。故竹下登元首相の弟で、2000年に衆院選島根2区で初当選して以降、7回連続で当選。19年1月にがんを公表し、今年7月に政界引退を表明していた。60年以上続いた「竹下」の看板が政界から消えた。
 ・竹下亘衆院議員が死去 元復興相 「ふるさと創生」尽力 74歳
 ・PDF号外:竹下亘氏死去(2021年9月18日)

▼10月5日 米戦闘機が萩・石見空港に緊急着陸
 益田市内田町の萩・石見空港に10月5日、米軍岩国基地(山口県岩国市)所属の戦闘機2機が緊急着陸した。島根県によると、機体の火災や故障ではなく、給油が目的。空港を管理する県は約1時間40分、滑走路を閉鎖し、空港施設内の立ち入りを制限した。戦闘機は6日に石見空港を離陸した。
米戦闘機が萩・石見空港に緊急着陸(10月)

▼10月31日 衆院選 山陰4議席、自民党が独占
 第49回衆院選が10月31日投開票され、山陰両県4小選挙区は自民党の前職3人と新人1人が勝利し、6回連続で議席を独占した。島根1区は前職の細田博之氏が11選。2区は新人の高見康裕氏が初当選した。鳥取1区は前職の石破茂氏が12選、2区は前職の赤沢亮正氏が6選をそれぞれ果たした。
衆院選 山陰4議席、自民党が独占(特設ページ)

▼11月12日 中海で巨大ニホンウナギ
 全長1メートル、重さ約2・6キロの巨大なニホンウナギが11月12日、松江市本庄町の中海で取れた。体が最も大きくなるこの時季のニホンウナギと比べると3~5倍の重さ。巨大ウナギは、地元の漁師中島栄さん(91)が仕掛けた小型定置網に、アカエイやクロソイとともにかかっていた。中島さんは「70年の漁師生活で初めて」と驚いていた。
中海で巨大ニホンウナギ

 


 

 スポーツでは山陰両県の選手やゆかりのアスリートが全国、世界の舞台で躍動した。東京五輪では米子市出身の入江聖奈選手が女子ボクシングで金メダルを獲得。陸上男子3000メートル障害では、浜田東中出身の三浦龍司選手が7位入賞に輝いた。
 野球でも嬉しいニュースが続き、石見智翠館が夏の甲子園でベスト8、大田二中が全国中学校軟式野球大会で山陰両県勢として初優勝を飾った。野球に負けまいと、高校総体ではホッケー男子の横田が優勝、サッカーでは米子北が準優勝を飾った。
 プロスポーツも島根スサノオマジックが大型補強で東京五輪代表の金丸晃輔選手らを獲得。今シーズンはここまで、17勝7敗と好調をキープしている。JFLの松江シティFCも過去最高の5位の好成績を収めた。来シーズンからは「FC神楽しまね」のチーム名で新たなスタートを切る。

 

島根スサノオマジック

山陰ご縁むす美レディース

東京五輪・島根県、鳥取県ゆかりの選手の活躍

JFL・松江シティFC