うみへび座全景(ぜんけい)=3月26日、出雲(いずも)市芦渡(あしわた)町で撮影(さつえい)
うみへび座全景(ぜんけい)=3月26日、出雲(いずも)市芦渡(あしわた)町で撮影(さつえい)

アルファルドが目印

 にぎやかな冬の星(せい)座(ざ)たちが西の空で輝(かがや)く今の時季の午後8時ごろ、南の地平線から見上げていくと、最初に目に付くのがアルファルドという星です。

 アルファルドは「孤(こ)独(どく)なもの」という意味で、特別に強い輝きはありませんが、周りに明るい星がなく、ぽつんと目立つことからそう名付けられたのでしょう。そしてこの星は、うみへび座という大きな星座の目印です。

 ギリシャ神話には、ヘビのような首をたくさん持ったヒュドラと呼(よ)ばれる怪物(かいぶつ)が登場します。日本神話のヤマタノオロチと似(に)ていますが、ヒュドラの方が首が1本多く9本です。そのうちの1本の首が、ヘビの姿(すがた)をしたうみへび座になったといわれています。

 うみへび座は、アルファルド以外はほとんど暗い星でできているので、たどるのが少し難(むずか)しいのですが、たいへん長細い星座です。ヘビの心臓(しんぞう)にあたるアルファルドが真南で光っているときには、西側に頭は見えていますが、しっぽはまだ南東の地平線の下にかくれています。

 頭からしっぽの先まで見わたすには、今だと午後10時ごろまで待たなくてはいけません。あるいは、1カ月後の5月中ごろなら、午後9時にはうみへび座が全体の姿を現(あらわ)します。

 うみへび座は空を占(し)める広さが、88ある星座の中で一番です。春の夜空には、ひかえめですがこんなに大きな星座が横たわっているのです。

◆島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(みきまさ)