プレアデス星団とおひつじ座、さんかく座=10月20日、三瓶自然館サヒメルで撮影(さつえい)
プレアデス星団とおひつじ座、さんかく座=10月20日、三瓶自然館サヒメルで撮影(さつえい)

「Δ(デルタ)」を探してみよう

 おひつじ座(ざ)を探(さが)してみましょう。日本では「すばる」という名で親しまれているおうし座のプレアデス星団(せいだん)が、今ごろの夜のはじめなら東の空に見えています。プレアデス星団の西側に少し明るい星があり、ハマルといいます。このハマルを中心とした星の並(なら)びが、おひつじ座です。

 平べったい形に星が並んでいて、羊の姿(すがた)を想像(そうぞう)するのは難(むずか)しいかもしれません。星座の絵は、ハマルのあたりを頭として、伏(ふ)せた姿勢(しせい)の羊として描(えが)かれることが多いようです。ギリシャ神話では、黄金の毛を持つ羊とされています。

 ハマルは1等星に次ぐ明るさの2等星ですから、おひつじ座は決して見つけにくい星座ではありません。それでも、となりのおうし座、さらにその近くのぎょしゃ座、オリオン座、ふたご座などには、すぐに目に付く1等星がありますので、おひつじ座にはどうしてもおとなしい印象(いんしょう)を受けます。

 星(ほし)占(うらな)いなどで使う誕生(たんじょう)星座の1番目の星座なのに、目立たないのはよくないと昔の人も考えたのか、こんな話があります。ある神様が、おひつじ座の額(ひたい)の上に、最高の神であるゼウスを表すギリシャ文字「Δ(デルタ)」を飾(かざ)りました。それが、小さな三角形をした星座、さんかく座だというのです。

 秋の夜空におひつじ座を探し、さらにさんかく座も見つけることができたら、ちょっとした星座通といえるかもしれませんね。

 ◆島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(みきまさ)