夏休みに入って、毎日が少し退屈(たいくつ)だと感じている人はいませんか? 意外にも身近な所に新たな発見や知らない世界は広がっています。
この本もそのうちの1冊(さつ)です。実は目に見える景色(けしき)が全て同じとは限(かぎ)りません。『動物の見ている世界』(ギヨーム・デュプラ作、渡辺(わたなべ)滋人(しげと)・訳(やく)、創元社(そうげんしゃ))
仕掛(しか)けを開くと動物たちの見える世界がどのように映(うつ)っているか見ることができます。人間と同じように見える動物や、白黒で見える動物、はたまた見えない動物など、なぜ違(ちが)って見えるのかという点を四つの項目(こうもく)で分かりやすく説明してあります。身近な動物のイヌやネコも同じ景色を見ているようで違います。
カタツムリやハエには、私(わたし)たちの見ている世界がどのように映っているのでしょうか。ぜひこの本で確(たし)かめてください。
こちらの本は日(にち)常(じょう)の景色に小さな驚(おどろ)きを。『こびとの世界』(Mo(モ)zu(ズ)・著(ちょ)、玄光社(げんこうしゃ))
いつもは開かないコンセントですが、開いた所をのぞくと、まるで小さな誰(だれ)かが生活しているような部屋が垣間見(かいまみ)える、何ともユニークなミニチュア作品集です。おうちにあるコンセントを見てください。この作品がどれくらい小さいか伝わるのではないでしょうか。小指の爪(つめ)より小さな生活雑貨(ざっか)があちこちに置いてあり、見れば見るほどいろいろな発見があります。
自分の家には、どんな小人(こびと)の部屋が広がっているのかしらと想像(そうぞう)するとワクワクしませんか? 児童書ではありませんが写真がたくさん載(の)っているので小学生の皆(みな)さんも楽しめると思いますよ。
この人はまさに違う世界を見てきた人です。『ジョン万(まん)次郎(じろう)』(金原(かねはら)瑞人(みずひと)・著、佐竹(さたけ)美保(みほ)・絵、岩崎(いわさき)書店) 土佐(とさ)(今の高知県)で漁師(りょうし)をしていた14歳(さい)の万次郎は、江戸(えど)時代後期の天保(てんぽう)12年(1841年)、仲間と出た漁の途中(とちゅう)で漂流(ひょうりゅう)し、通りかかったアメリカの捕鯨船(ほげいせん)に助けられ、現地(げんち)で英語と航海術(こうかいじゅつ)を学び、日本に帰国した後、その経験(けいけん)を生かし幕府(ばくふ)に仕(つか)えた波乱(はらん)万丈(ばんじょう)な人生を歩んだ人です。
万次郎は、日本に帰国するまでにいろいろな国の人のさまざまな考え方や価値観(かちかん)に触(ふ)れ、今の自分にできることを考えていきます。自分の国の当たり前にとらわれず、広い視野(しや)を持って世界を見る感覚は、今まさに必要とされているのではないでしょうか。時代は違えども、同じ十代を過(す)ごしている皆さんにおすすめしたい本です。
読書から見つかる新たな景色や発見で、何気ない日々を心が躍(おど)る体験に変えてみませんか。
(宮脇悠(みやわきはるか)・大(おお)田(だ)市立大田市中央図書館司書)